「直系」と「嫡流」、「傍系」と「庶流」の違い!【クイズ有り】

「直系」と「嫡流」、「傍系」と「庶流」っていう4つの言葉は、親族や家系図を説明するのにとても便利な言葉になります。

ですが、その違いはわずかなので、違いがハッキリわからないと使うことができません。

今回は、クイズを使いながら、この言葉が使い分けできるように説明していきますね。

わかりやすく解説!

まずは、会話形式だとイメージがわきやすいので、ぜひ先生と生徒のお話を聞いてみてくださいね。

生徒:「先生、よく『直系』とか『嫡流』って聞くんですけど…正直、何が違うのか全然わからなくて。」

先生:「いいところに気づいたね!この2つ、似てるけど意味が違うんだ。じゃあ、まず『直系』から説明しようか。」

生徒:「はい!」

先生:「『直系』っていうのは、親から子、子から孫へ…って、まっすぐ血がつながっている関係のこと。
たとえば、君から見てお父さん、おじいちゃん、ひいおじいちゃんは全部『直系』になる。」

生徒:「ふむふむ。じゃあ、叔父さんやいとこは?」

先生:「それは『傍系(ぼうけい)』になるんだ。親の兄弟や、その子どもたちは『直系』ではないよ。」

生徒:「なるほど!直系は“まっすぐ”のイメージですね。」

先生:「その通り!じゃあ次、『嫡流』について説明しよう。『嫡流』は簡単に言うと、家の正統な後継ぎの血筋のこと。たとえば、長男が家を継いで、その子や孫がさらに継いでいく。この流れが『嫡流』になるんだ。」

生徒:「え!?じゃあ、次男や三男は嫡流じゃないんですか?」

先生:「うん、昔の考え方ではそう。基本的に『家督(家の継承)』を引き継いだ流れが『嫡流』で、それ以外は『庶流(しょりゅう)』って呼ばれることもある。」

生徒:「直系は血のつながり全部。嫡流は、その中でも“本家の正統な流れ”って感じですね?」

「では、次男や三男は、直系ではあるけれども嫡流ではないということですか。」

先生:「その通り!すごくいいまとめだね。

直系は“血の道筋”、嫡流は“家を継ぐ血筋”。似てるけど、意識するポイントが違うんだ。」

生徒:「めっちゃスッキリしました!」

詳しく解説!

「直系」と「傍系」の違い

この言葉は、基本的に「人」の関係を指す言葉です。

家そのものというよりは、「血縁関係のつながり方」=人と人の関係性を表します。

まず、「直系(ちょっけい)」とは、まっすぐに親から子へとつながっていく関係のことです。

たとえば、おじいさん → お父さん → あなた のように、世代をこえて続いていく「親子のつながり」を直系といいます。

あなたから見た直系:親、祖父母、ひいおじいちゃんなどは直系で、横のつながり(兄弟、叔父さん)は直系ではありません。

また、「傍系(ぼうけい)」とは、直系以外の家族のつながりのことです。

たとえば、お父さんの弟(叔父さん)や、おじさんの子ども(いとこ)などは、親子の流れではありませんよね。

これが傍系です。

傍系は、直系にくらべると“横のつながり”という感じです。

「嫡流」と「庶流」の違い

この言葉は、「人」も「家(家系)」も両方を指すことができるのですが、文脈によってどちらを指しているのかが変わります。

嫡流(ちゃくりゅう」は、「家を正式に継ぐ人の血筋」という意味です。

たとえば、昔の家では「長男が家を継ぐ」と決まっていることが多く、この長男の子ども、そのまた子どもが「嫡流」となります。

昔はいちばん正当な血筋とされた、「本家(ほんけ)」とよばれる家を受けつぐ人のことです。

つまり、「直系」が親子のつながりなら、「嫡流」はその中で特に“家を継ぐ人”の流れをさします。

また、「庶流(しょりゅう)」は、同じ家の血筋である直系ではあるけれど、嫡流ではない家のことです。

たとえば、長男が「嫡流」となると、次男や三男の家族は、直系ではあるものの「庶流」となります。

嫡流にくらべて、家の立場は低くなることが多く、分家(ぶんけ)とも呼ばれます。

つまり、「庶流」は“家を継がなかった血筋”です。

図でまとめると、こういう形になります。

祖父(家のはじまり)
(本家を継ぐ)
長男 次男 三男
(直系) (直系) (直系)
(嫡流) (庶流) (庶流)

また、いところを絡めると、傍系がわかると思うので、図に記載してみました。

祖父(家のはじまり)
 
(本家を継ぐ)
叔父さん(傍系)
長男 次男 三男 いとこ
(直系) (直系) (直系) (傍系)
(嫡流) (庶流) (庶流)

ちょっとした疑問

ではここで、ちょっとした疑問についてまとめていきたいと思います。

養子でも嫡流になれるの?

日本の伝統的な考え方では、「家(いえ)」という存在がとても大切にされていました。

そのため、血がつながっていなくても、家を存続させるために養子を迎え、家を継がせることが広く行われていたのです。

つまり、養子でも、その家の「名前」や「家督」「財産」を継げば立派な嫡流になります。

養子縁組を通じて、法律的にもの子は実子と同等の「親子」となるからですね。

また、たとえば、長男がいない家に、甥(おい)を養子にした場合、養子が正式にその家を継げばその子が嫡流となります。

養子であっても、次の代やその次の代も「嫡流の家系」となります。

そのため、相続権ももちろん認められます。

実際、徳川宗家の最後の将軍・慶喜の子、徳川家達(いえさと)は、紀州徳川家からの養子であるりながら、宗家を継いで嫡流となりました。

さらには、島津久光は、薩摩藩の島津家の分家出身だったが、宗家に養子入りして嫡流となりました。

歴史的にもたくさん例はあるんですね。

今の生活とどう関係があるの?

現代では、家を継ぐという考えは昔ほど強くありません。

でも、「本家」「分家」といった言葉は、今でも地方によっては使われています。

たとえば、お盆やお正月に「本家にあいさつに行く」という風習がある家もありますね。

こういった目上の方の話を聞く際、こういったことがわかっていると話も入れるので、いろんなメリットがありますよ。

家族の関係と「直系・嫡流・庶流・傍系」の分類リスト

では、今回の話の内容をリストにまとめました。

かなり広い親戚までまとめたので、すこし長くなりましたが、こちらもぜひチェックしてみてくださいね。

家族関係 直系 嫡流  庶流  傍系  説明
(家督継承者なら) あなたの親。直系。家を継げば嫡流。
(家に嫁入りした母) 父と結婚して家族になった人。直系の一部。
祖父 (元の家の主なら)  お父さんのお父さん。直系。家を継いだなら嫡流。
祖母 (祖父の妻) 直系。血筋としては祖父とセット。
あなた(当事者) (長男や長女で家を継ぐ場合) (次男・三男・次女など) 親の子ども。直系。家を継ぐかどうかで嫡流か庶流に分かれる。
長男 (家を継ぐ場合) 一般的に家を継ぐ「嫡流」。もちろん直系。
次男 ❌(家を継がない場合)  直系だけど、家を継がなければ「庶流」。
三男 ❌(家を継がない場合)  同上。家を出て別に家を立てた場合は分家=庶流。
長女 (家を継ぐ場合)  直系。家を継げば嫡流、それ以外は庶流。
次女 ❌(家を継がない場合)   同上。嫁いだ場合はその家の一員となる。
伯父(父の兄) 親の兄弟なので直系ではない。「傍系」
叔父(父の弟) 同じく傍系。父の弟の血筋。
伯母・叔母(親の姉妹) 親の姉妹も傍系にあたる。
いとこ おじ・おばの子。血はつながっているが親子関係ではないので傍系。
曾祖父(ひいおじいちゃん) (家を継いでいれば) 直系の上の世代。家の始まりの人かも。
玄孫 または庶流 または❌ あなたの孫の孫。直系だけど、家の流れによって立場が変わる。
義兄弟(結婚などでできた兄弟) 血のつながりはないので直系・傍系ではない。

まとめ

  • 「直系」は、親から子へとまっすぐつながる血筋
  • 「嫡流」は、その中で家を継ぐ中心となる流れ
  • 「傍系」は、親子ではないけれど血のつながった家族
  • 「庶流」は、家を継がなかった人たちの流れ

この4つの言葉は、昔の日本の家族の仕組みを知るうえでとても大切です。

歴史や家系図の勉強にも役立つので、ぜひ覚えておいてくださいね!

また、親族や家族に関する知識をまとめたページもいくつかあるので、もし興味がありましたらこちらも是非チェックしてみてくださいね。