本家・分家・大本家の違いとは?意味・家系図・法律的な解説も|日本の家制度をわかりやすく【クイズ付き】

「大本家」「本家」「分家」という2つの言葉は、家系や親族関係の中で非常に重要な意味を持っています。

ですが、この2つの言葉の違いを正確に使い分けることができる人はあまりいません。

今回は、例を出しながら、この意味の違いをわかりやすく説明したいと思います。

知識が深まる!「大本家」と「本家」と「分家」クイズ

まず、解説をする前に、あなたがどれだけ「本家」と「分家」ついて理解しているかを、クイズ形式で出題したいと思います。

回答のあとに、それぞれの言葉を詳細に解説させてもらっているので、最後まで読むとより理解度が深まるはずです!

もし、クイズは必要ない方は、解説の方から読み進めていくことも可能です。

クイズを飛ばして解説へ行く

問題編

【第1問】

次のうち「分家」にあたるのはどれでしょう?

  • A. 先祖代々の家を守っている家
  • B. 本家から独立して、別の場所に家を建てた家

【第2問】

私は親戚の集まりで「本家」に行きます。この「本家」は、私の家が「分家」だからそう呼んでいます。

では、「本家」のさらに上に「大本家」が存在している場合、大本家から見たこの『本家』の立場はどうなるでしょう?

  • A. 大本家から見ても『本家』
  • B. 大本家から見たら『分家』
  • C. どちらでもない

【第3問】

あなたは旧家の長男で、親から実家を受け継ぎました。さて、この状況を正しく表す考え方は次のうちどれでしょう?

  • A. 長男が家を継いだので、その家は「本家」になる
  • B. 長男でも家を継いだとは限らないので「分家」になる
  • C. 長男でも、結婚した時点で自動的に「分家」になる

【第4問】

兄は「本家の長男」として実家の土地や仏壇を相続しましたが、今は仕事の都合で大阪に住んでいます。さて、この場合の「家を継ぐ」「本家・分家」の考え方として正しいのはどれでしょう?

  • A. 親と同居していないので「家を継いだ」とは言えず、分家扱いになる
  • B. 住んでいる場所は関係なく、実家の責任を継いでいれば「本家」として家を継いだことになる
  • C. 家を継ぐのは親の介護をした人なので、離れている兄ではなく、近くに住む弟が本家になる

【第5問】

  • A家(大本家)は300年続く旧家で、広大な土地と先祖代々の墓を守っています。
  • B家(本家と呼ばれている)は、5代前にA家から分家した家。
  • C家(分家)はB家からさらに分かれた家です。

ある日、A家の当主が亡くなりました。A家の跡継ぎは決まっておらず、親族会議でB家とC家からも相続人が名乗り出ました。

さて、次のうち法律(現行民法)の考え方として正しいのはどれでしょう?

  • A. 大本家の本家・分家という立場に関係なく、「血縁上の法定相続人」ならB家もC家も相続権を持つ可能性がある。
  • B. 分家した時点でB家・C家には一切の相続権がなくなるため、A家の財産はすべてA家の人間だけで分ける。
  • C. 祭祀(お墓や仏壇)の継承者は相続と同じルールで分割し、相続人全員でお墓も分け合う必要がある。

回答編

【第1問】

【正解】B. 本家から独立して、別の場所に家を建てた家

■解説=「分家」は本家から別れた家のこと。血筋はつながっていますが、独立した家になります。

【第2問】

【正解】B. 大本家から見たら『分家』

■解説=「本家・分家」は視点によって変わるもの。
大本家から見れば、途中で枝分かれした時点で「分家」扱いになります。

【第3問】

【正解】 A. 長男が家を継いだので、その家は「本家」になる

■解説=「本家」とは、代々その家を受け継ぎ、家系を継承している家を指します。

長男が親から家督(家や土地、仏壇など)を引き継いだ場合、その家は「本家」となります。一方、弟や兄弟が新たに家を建てて独立した場合は「分家」となります。
結婚しただけでは「分家」になるわけではなく、家を出て独立することが「分家」の条件です。

【第4問】

【正解】B. 住んでいる場所は関係なく、実家の責任を継いでいれば「本家」として家を継いだことになる

■解説=現代では「家を継ぐ」とは 実家の土地・墓・仏壇・親族のまとめ役などを引き継ぐこと を指します。親と同居しているかどうかは関係なく、役割や責任を負っていれば「本家を継いだ」と言えます。逆に、実家の管理も親の面倒もすべて他の兄弟がやっている場合は、たとえ「長男」でも実質「本家」とは見なされないこともあります。

【第5問】

【正解】 A. 大本家の本家・分家という立場に関係なく、「血縁上の法定相続人」ならB家もC家も相続権を持つ可能性がある。

■解説=現代の相続は「家」ではなく「血縁」がすべての基準(民法第887条〜)。「分家したから相続権がない」は、旧民法の家制度の考え方で、現在の法律では通用しません。また、逆に、祭祀財産(墓・仏壇)は「祭祀承継者」を一人決める特別ルールがあり、遺産分割対象にはならない(民法897条)。

3つの言葉の使い方 「使える条件が違う」

では、それぞれの言葉の意味を解説していきますね。

「大本家(おおほんけ)」

分家から見て本家があるのですが、本家もどこかから分家していることもあります。

なので、本家の本家が大本家となります。

大本家から枝分かれして「本家」や「分家」が生まれるので、その地域や一族や家系の中で、最も古く、由緒ある“元祖”の家系・本流を指す言葉となります。

たとえば、

  • A家 → 大本家(300年続く旧家)
  • B家 → A家から分かれた本家(地域では本家と呼ばれている)
  • C家 → B家からさらに分かれた分家

この場合、A家が「大本家」で、B家やC家から見ると「大本家(ほんけ)」は すべての始まりの家 という扱いになります。

使用例

  • 「大本家に挨拶へ行く。」
  • 「うちは分家なので、大本家には逆らえない。」
  • 「この土地は大本家のものだと聞いている。」

「本家(ほんけ)」

家系の中心となる元の家

これは、同じ一族の中で、代々家督を継ぎ、血筋を守ってきた「元の家」を指します。

分家と区別する意味で使われる言葉で、家系の本流、あるいは一族の中心という位置づけになります。

地方の旧家や名家などでは、「本家」が親族のまとめ役となることも多く、祭祀や法事などでも本家が主催する習慣が残っています。

使用例

  • ○○家の本家筋
  • 本家に挨拶する
  • お盆は本家に集まる

「分家(ぶんけ)」

本家から枝分かれした家

これは、本家から別れて新たに独立した家系のことを指します。

血筋は同じでも、家としては本家とは別の独立した存在となり、それぞれの家が新たに代を重ねていくことになります。

昔は、次男や三男などが新たに家を持つ際に「分家」となり、土地や屋敷を与えられて家系が広がっていきました。

使用例

  • 次男が分家した
  • ○○家の分家として立つ
  • 分家筋の者

民法上、本家と分家はどうなっているの?

現在の民放は”個人単位”、”家単位”ではない

明治民法(1898年施行)では「家督相続」や「家」の概念があり、「本家・分家」区別が法律でも重視されていました。

ですが、1947年の民法改正(現行民法)で「家制度」廃止され、現代の法律は「個人単位」で相続・財産・権利を考えます。

つまり、本家・分家という考え方は、個人それぞれの見方によるもので、法律的には何も決まりはありません。

本家でも分家でも、現在は、相続人は「血縁(法定相続人)」だけが基準となっています。

分家でも削族ならもちろん相続権があります。

たとえ、とある人物にとってどんなに家に格式があろうと、民法上は全く関係がありません。

唯一残る”家”の規定

お墓や仏壇だけは、「相続」とは別扱いになります。

祭祀を継ぐ人(1人)を決める必要あるのですが、ここでも「大本家・本家・分家」は明文化されず、「慣習・話し合い」で決めることとなります。

法律上の定義 「大本家」「本家」「分家」の概念は民法にない。
相続 立場ではなく「血縁」が基準。全員平等の権利。
祭祀 継承者1人のみ。だが「大本家だから優先」とは明記されない。

「大本家」と「本家」と「分家」のわかりやすい例

名前の呼び方の一般的な決まり

地方の大きな旧家では、代々続く「大本家」が一族の中心にあり、そこから枝分かれして「本家」や「分家」が生まれていきました。

  • A=大本家…○○家の最も古く、由緒ある家系。一族の始まりとして祭祀や土地を守り続ける
  • B=本家…大本家から分かれた家の中でも中心的な存在。地域の親族をまとめる役割を持つ
  • C=分家…さらに本家から分かれて独立した家。それぞれに生活や家業を営む

たとえば、上の例でいえば、(B)は(A)から見ると分家です。ですが、その後に分家した(C)からみると、(B)は本家になる場合もあります。

このように、民法上は「本家」や「分家」といった区別は規定されていません。

つまり、どこが本家で、どこが分家かは、それぞれの立場や見方によって変わるあいまいなものだと言えるでしょう。

どうすれば、本家を引き継げるの?

では、どうすれば本家を”継ぐ”とができるのでしょうか?

簡単に言うと、「家を継ぐ」とは、親から家の役割や責任を引き継ぐことを意味し、昔は「家督を継ぐ」と言われ、今でも「本家を継ぐ」という言い方が残っています。

役割とは、主にこういうことですね。

  • 土地・家・財産を相続する
  • 先祖のお墓や仏壇を守る
  • 親族や地域の行事を引き継ぐ(法事・祭りなど)
  • 親や家族の面倒を見る(介護や看取り)

親と一緒に住むことだけが「家を継ぐ」ではありませんし、本家との物理的な居住の距離より「家の責任を負うこと」が大切です。

東京に本家があっても、東京外で住んでいても責任さえ果たせば本家を名乗ることが可能です。

つまり、本家・分家の区別は「誰が家を継いだか」で決まることが多いですね。

本家の責任を、兄弟の誰が負うのかということが重要となります。

もっと理解するための雑学

実は「本家」「分家」という関係が原因となった争いは、日本の歴史でも数多く存在します。

特に「相続」「家督争い」「跡目争い」などが代表例で、大名家や武家、現代の企業・財閥でも見られた構図です。

本家の血筋が絶えるとは?

その家の名字・血筋・役割・しきたりが続かなくなることを指します。

つまり、子ども(特に跡継ぎ)がいなくなる、誰も「家」を受け継がず、墓や仏壇、土地を守る人がいなくなる、親戚・地域からその「○○家」が消えていく、こうした状態になることを「家が絶える」と表現します。

女性が別の家に嫁いで苗字が変わると、家を継げなくなりますので、男性が生まれず血筋が絶えることも珍しくありません。

なぜ、血筋が「絶える」と言われるかというと、昔の日本では「家=一族・名字・土地・しきたり」を守る単位とされているためです。

家が途絶えると、その家の名前が消え、先祖の供養ができなくなり、土地や財産もバラバラになってしまうという重大な意味を持っていましたからですね。

現代は個人主義・核家族化がすすみ、家が絶えるということへのこだわりや懸念はかなり薄くなっているのは事実です。

 応仁の乱 ― 本家・分家の家督争い

室町時代の「応仁の乱」は、将軍家の後継問題に加え、有力大名たちの「本家・分家」間の争いが複雑に絡んだ結果、全国規模の戦乱に発展しました。

 現代の相続トラブル

現代でも、「本家がすべてを相続するべきか」「分家にも権利があるのか」といったトラブルが裁判になるケースも増えています。

墓や仏壇の継承、土地や不動産の分配をめぐる問題は、まさに本家・分家の意識が根強く残っている証拠と言えるでしょう。

まとめ

「本家」「分家」には、それぞれ明確な役割と立ち位置の違いがあります。

言葉 意味 ポイント 使用例
本家 家系の中心、元の家 代々家督を継ぐ家 ○○家の本家 本家筋
分家 本家から別れた家 本家とは別の独立した家 ○○家の分家、分家筋

このように、「本家」「分家」にはそれぞれ使いどころがあり、理解すると日本の伝統や家系の奥深さを感じることができます。

奥が深い世界ですね。

また、親族や家族に関する知識をまとめたページもいくつかあるので、もし興味がありましたらこちらも是非チェックしてみてくださいね。