自分の配偶者のことを何と呼んでいますか?
亭主?夫?旦那?婿?主人?
実はこれらの言葉も、それぞれ微妙に意味が違っています。
意外と間違って使っている人も多く、間違ったシチュエーションで使ってしまったら恥ずかしい思いをすることも少なくありません。
なのでこれを機会に、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。
配偶者(男性)の呼び方
実際に使われている、他人に自分の配偶者(男性)を伝える言葉ランキング(※参考例)
順位 | 呼び方 | 割合 |
1位 | 主人 | 35% |
2位 | 旦那 | 22% |
3位 | 夫 | 19% |
4位 | 亭主 | 11% |
5位 | ダーリン | 4% |
6位 | 婿 | 0% |
= | その他 | 8% |
実際の意味
呼び方 | 意味 | 対義語 |
---|---|---|
亭主 | 家の主人を指す言葉。 | 女房 |
夫 | 法律的にも正式な、自分の配偶者(男性)を指す言葉。 | 妻 |
旦那 | 本来は「檀那(だんな)」が語源。仏教用語で施主や支援者を指す。転じて、自分の夫にも使う。 | 奥さん |
婿 | 娘の配偶者(娘婿)を指す言葉。 | 嫁 |
主人 | 家庭の主(あるじ)という意味。古くから目上の男性を指す敬称。 | 家内 |
亭主
昔から使われてきた言葉で、家の「主人(あるじ)」を意味します。「亭」は「家」「屋敷」を表す字で、元々は「亭主=家の主」ということですね。
ただし、この言葉は現代ではやや古臭い印象があり、「うちの亭主がね、、、」と言うと昭和感が出ることも。
夫
これは法律用語でも使われる正式な呼び方です。
公的な書類や場面では「夫(おっと)」が正しい表現ですね。
男女平等の観点から、「主人」という言い方を避け、「夫」と言い換える人も増えてきました。
対義語はもちろん「妻」です。
旦那
実はこの言葉、語源がとても面白いんです。
元々はサンスクリット語の仏教用語で「daha(ダーナ)」から派生した言葉です。お寺にお布施をする施主を意味しました。
そこから転じて、「経済的に支えてくれる人」→「家計を支える男性」→「夫」という流れで今の使い方になりました。
そのため、どこか「養ってくれる人」というニュアンスが今でも残っています。
現代では「うちの旦那がさ~」というカジュアルな言い回しが一般的ですが、目上の人には避けたほうが無難です。
婿
これは「娘の配偶者」=「娘婿」を指す言葉です。
なので、自分の夫に使うことはできません。
ただし、婿養子の場合は「うちの婿」と言われることもありますね。
それぞれの意味一覧
それでは、先ほどの意味をまとめて、わかりやすく一覧にしてみました。
使ってよいシチュエーションも確認しておいてくださいね。
言葉 | 使用できるシチュエーション | 日常性 | 格式のある場所での使用 | ニュアンス・印象 |
---|---|---|---|---|
亭主 | 家庭内・仲間の庶民的な雑談 | 高 | × | 生活感が強く、軽い印象。「うちの亭主」などやや古風。 |
夫 | 法・公的場面から日常会話まで幅広い | 高 | 〇 | 最も中立で汎用性が高い。現代的で自然な言い回し。 |
旦那 | 家庭内、日常会話、飲食店でも使われる | 高 | △ | 親しみやすく柔らかい。「うちの旦那」から「お旦那様」まで幅広い。 |
婿 | 結婚・家制度・冠婚葬祭・親戚間の話題 | 低 | 〇 | 家系や家制度色が強い。現代では限定的。「婿養子」など伝統的印象。 |
主人 | 家庭内(妻から夫)、店主、主従関係で | 中 | 〇 | 支配・主従のニュアンスあり。現代ではやや古風に感じる場合も。 |
ちょっとした、夫の呼び方に関する雑学
「旦那」という俗語
先述のように、「旦那」は仏教の「dana(ダーナ)」から来ており、お布施をしてくれる、経済的に支えてくれるという意味です。
江戸時代には、お茶屋さんなどがよく「旦那衆」と呼ばれる、支援してくれる裕福な支援者がいたりすることもありました。
芸者や落語家の世界でも、太客やスポンサーを「旦那」と呼び、今でもその名残があります。
店でも「ダンナ、今日はいいサバが入ってまっせ!」というように、お金を持っている前提の相手に使うことも多いのもこういうことからですね。
つまり「旦那」は元々「お金を出してくれる人」だった色合いが濃く、「よっ、ダンナ!」ってヨイショする場面も見られますね。
また、「よっ、ご主人!」ならともかく、「よっ、夫!」は言いませんね。
旦那には俗語的な意味合いが強いと言えます。
「主人」という言葉は、時代に合っているか?
「うちの主人がね、、、」
今でも多くの人が日常的に使っている言葉ですが、実はこの「主人」という表現は、避けるべきだとする意見が少しずつ増えています。
理由は、「主人」という言葉の本来の意味と、そこに含まれる価値観のズレにあります。
「主人」という言葉は、もともと「家の主(あるじ)」や「物事を取り仕切る責任者」という意味を持ち、「支配的な立場」や「上に立つ人」をイメージする言葉です。
江戸時代から明治期にかけての日本社会では、家長制度の中で「家の主=男性」であることが制度的・社会的に当然とされていたため、「主人」=「夫(男性)」を意味するようになりました。
しかし、現代は時代が大きく変わりました。
共働き世帯が一般化し、夫婦の力関係は“対等”が前提とされる時代になっており、「男女平等」の風潮が広がっています。
近年では、官公庁や企業、学校などの公的な場でも、「主人」という表現を避ける動きが目立ちます。
■ 公共の案内文・書類例
- 従来:「ご主人のお名前をご記入ください」
- 現在:「配偶者の氏名をご記入ください」
■ マスコミ・教育現場でも
新聞各社の表記ガイドラインでも、「主人」「家内」といった夫婦間の上下関係や支配関係を連想させる言葉は極力使わない方針が広がっています。
現代社会では、夫婦は対等な存在です。
言葉を見直すことは、そうした価値観を再確認する良いきっかけにもなります。
会話の中でつい「うちの主人が、、、」と言ってしまう場面もあるかもしれませんが、少しずつ「夫」や「配偶者」「パートナー」といった言葉を少しずつ取り入れてみるのも、時代に合った選択と言えるでしょう。
「亭主関白」の由来
「亭主」といえば「亭主関白」という四字熟語が有名ですが、これは実は「関白」という役職に由来します。
天皇を補佐し政治を行った最高権力者が「関白」。
つまり、「亭主関白」とは「家の中で威張っている夫」という意味なのです。
最近では「恐妻家」という言葉の方が目立つかもしれませんね。
まとめ
こうして見ると、男性配偶者の呼び方にも、歴史的背景や語源の違いがたくさんありますね。
特に「旦那」や「婿」は、本来の意味を知らずに使っている人も多い印象です。
正式な場では「夫」が間違いなく使いやすいですが、普段の会話では「旦那」「亭主」「主人」など、状況や相手によって使い分けると良いでしょう。
皆さんも、自分の夫の話をする時に、ちょっと意識してみると面白い発見があるかもしれませんよ!
また、奥さんの呼び方についてもまとめていますので、もしよかったらこちらもチェックしてみてくださいね。