1分解説
「うつけ」を漢字で書くと
空け。虚け。
「うつけ」の意味
①空っぽ。
②愚か者。人間がしっかりしていない人。ぼんやりした人。
「うつけ」の解説
もともと「うつけ」とは、漢字で「空け(虚け)」と書き、「空っぽである」という意味があります。
そこから転じて、「判断力の乏しいぼんやりした人」「中身の無い人」「まぬけな人」といったような、人をマイナスイメージで馬鹿にする言葉となっていきました。
この言葉は、現代ではあまり使われることはありませんが、数百年前には広く使われる言葉でした。
あの織田信長が、青年時代のあまりの行き過ぎた服装や行動に「尾張の大うつけ」と呼ばれていたことは有名な話ですね。
このように「うつけ」は、本当に”判断力の乏しいぼんやりした人”にも使われましたが、信長のように”人と変わった奇妙な振る舞いをする人”にも使われました。
現代の言葉で言うと、「奇人」「変人」「常識はずれ」のような意味かもしれませんね。
もっと理解を深める雑学
あの織田信長が「うつけ者」と呼ばれていた?
死後400年以上経った今でも、織田信長にあこがれている人はあまりにも多いですね。
天下統一を目前にまでしたあの行動力は、比類なき伝説です。
ですがその織田信長が、少年~青年時代に「うつけ者」と呼ばれていたのはとても有名な話です。
ではなぜ、これほどの大人物がそのように呼ばれたのかを調査してみました。
なぜ、あの信長がうつけ者呼ばわりされたの?
まず、この説明をする前に、当時の時代背景を知っておかなければなりません。
武家出身の信長は、現代で言うところの「いいところのおぼっちゃま」です。
周りから見れば、さぞ厳しくも高い教育を受け、身だしなみもキチンとして気品があり、人の上に立つような人物、いわゆるエリートと呼ばれる階層でした。
つまり、生まれながらにして注目を集める立場であったのです。
ですが、、、信長はそのイメージと真逆の行動をしていました。
入浴時に着る湯帷子(ゆかたびら)を常時着ていて、腰には複数のひょうたんをぶら下げ、頭は毛先を茶筅のように仕立てた派手な茶筅髷をしていました。
そして、瓜や柿などをほおばりながら街中を歩くこともありました。
しかも、食事の時は他人の食事まで平気で食べ、学問はマジメに受けず、それはそれは典型的な「やんちゃ」だったそうです。
それは、他の町人からしたら、
「いいところぼっちゃんがおかしくなったのか?」
というように、さぞ白い目で見られていたことでしょう。
こうして信長を、人々は「尾張の大うつけ」と呼ぶようになっていきました。
信長の若かりし頃は、「信長公記」という書物の中に詳しく記録が残されています。
信長の場合、「うつけ」の意味の中でも、「ぼんやりした人」ではなく「常識はずれ」のイメージでつけられたのですね。
信長以外のうつけ者は?
織田信長以外にも「うつけ」と呼ばれていた人物は複数いたようです。
「長宗我部元親」「前田利常」「吉川広家」といった歴史的人物です。
「長宗我部元親」は、信長のような常識はずれという意味ではなく、本来の「ぼんやりとした人」というイメージからの”うつけ”と呼ばれていたそうです。
ですが元親は、後に四国を治める大人物となってゆきましたね。
幼少の評価と、成人後の評価は全く別物になる人が多いのでとても興味深いところですね。