「木」と「樹」の違い 明確な使い分けがあった

「木」と「樹」の違いってわかりますか?

「樹木」という言葉があるように、どちらもかなり似た言葉であることは間違いないですね。

ですが、両者には決定的な違いが見つかったので説明していきますね。

「木」と「樹」の意味の違い

「木」とは?

「木」というと、その形から一本の立っている「木」から生まれた漢字です。

このように、その立っている姿である「生きている立ち木」の意味を持っているのはもちろん、木を加工した木材・原料としての「生命を持っていない木」にも使えます。

つまるところ、「木」とイメージできるもの全てに使えるオールマイティーな漢字ということができますね。

とても使いやすい言葉です。

「樹」とは?

それに対して、「樹」とはどういう意味でしょうか。

「樹」は”木へん”から成り立っている漢字であるから、「木」という漢字ができた後に成立した言葉であることがわかります。

なので、「木」というオールマイティーな言葉に対して、”木”の意味の中でも”何かを特定・限定するため”に作られた言葉であることが推測されます。

それは、「生きている木」ですね。

大地に根をはる「生きている木」には「樹」を使うことができます。

加工された材木には「樹」には使いませんね。その場合は必ず「木」が使われます。

”木製バット”と言いますが、”樹製バット”とは言えません。

昔の人たちは、「木」の中でも、”生命を帯びた木”に対して、「樹」という言葉を与えました。

そう考えると、「樹」とは瑞々しく、”太く力強くそびえ立つ”生命のイメージがあるように感じますね。

そういった命のイメージから「広樹」「美樹」というように、名前でも使われるのが納得します。(「広木」や「美木」だったら、無機質な苗字のようなイメージになりますよね笑)

「木」と「樹」の境目

では、「木」と「樹」の境目について考えてみましょう。

大地に根を持つ生きているものを「樹」とは呼べますが、一旦切り倒されてしまったら、その地点から「木」としか呼べなくなってしまうと思います。

その後、「木」は加工され、家具や家になってゆきますが、もう二度と「樹」と呼ばれることはありません。

英語でもこの部分は明確に区別されています。

生きている木には「tree」を使いますが、原材料・素材となると「wood」になりますね。

ほぼ同じ感覚と捉えても良いかもしれません。

「樹」と「木」の使い方

不思議なことに、「樹」は単独の漢字として用いられることがほとんどありません。

どんなに生きている木でも、「山の頂上に一本の樹があります」とは使えませんね。

「樹」は他の漢字と合わせて初めて使うことができる不思議な字です。

例えば、「大樹」「植樹」「樹林」「記念樹」「針葉樹」のように、生きている「木」を前提にした言葉に使われます。

また、「樹立」のように、”しっかりと作り上げられること”という良いイメージで使われることが多いです。

逆に、「木」は生命感の無いドライな意味に使われることが多いです。

「木目」「材木」「木製」「木刀」といったように、素材・材質としての意味によく使われます。

「樹脂」は素材ですが、生きている木が分泌するからと付けられた名前かもしれませんね。

「樹」の読み方

「樹」とくれば、「き」と読みたくなりますが、この「き」は常用漢字内の訓読みには入っていません。

常用漢字に入っている読み方は、音読みの「ジュ」ですね。

なので「樹」が一字だけで出てきた場合、「ジュ」と呼んだほうが無難です。

「木」にまつわる雑学

「木」の定義

木の定義ってご存知ですか?

木は大きく、草は小さいイメージですが、ツツジのように小さな低い木があったり、ヒマワリのように大きくて高い草もあるので一概にそうだとは言えません。

実は「木」が木として成立するために、一般的な定義があるんです。

「木」の定義はこのようになっています。

樹皮の内側に薄い「形成層」というものがあって、この組織が硬い木質の部部をつくりながら成長して大きくなるものをさします。

この部分によって年輪ができますね。つまるところ、「年輪」があるものを「木」と呼びます。

草にはこの「形成層」と呼ばれる部分がありません。

ですが、一部例外もあって、竹は、形成層(年輪)がありませんが、木の仲間に入ります。

この定義は、学術的・植物学的に定められたものではなく、実際のところはあいまいとされています。

「木」と「樹」の漢字の成り立ち

読み方(音読み) モク・ボク ジュ
読み方(訓読み) き・こ き、いつき(常用漢字内の訓読みはありません)
画数 4画 16画
部首
漢字検定 10級 5級