暗闇で突然何かが動いた時、、、とても”こわい”と感じると思います。
その時の”こわい”は、「恐い」と「怖い」のどちらの漢字があてはまるのでしょうか?
そんな切羽詰った状況で考えている余裕はありませんよね笑
今回は、「恐い」と「怖い」の違いについて1分で読めるようにまとめてみました。
「怖い」と「恐い」の意味
実は、両者の意味は全く同じなんです。
「こわい」という言葉に、使える漢字が2つあると思ってくださいね。
「こわい(怖い/恐い)」の意味
①それに近づくと危害を加えられそうで不安である。自分にとってよくないことが起こりそうで、近づきたくない。
②悪い結果がでるのではないかと不安で避けたい気持ちである。
③不思議な能力がありそうで、不気味である。
by デジタル大辞泉
「怖い」と「恐い」の使い分け
では、両者はどのように使い分る方法をまとめていきたいと思います。
常用漢字
日常会話としては、「怖い」も「恐い」も両方使うことができます。
ですが、現代国語の目安となっている「常用漢字」に指定されているのは、「怖い」の方だけなんです。
実は、、、「恐い」は常用漢字ではないんです。
なので、報道とかのメディアでは「怖い」使われることが一般的なので、もし迷ったら間違いなく「怖い」を使いましょう。
「怖い」の方が無難に使えます。
主観と客観の差
常用漢字ではありませんが、「恐い」も、「怖い」と同様に一般的に使われるので、決して間違った使い方ではありません。
「こわい」に対して、「恐い」という漢字で書いたことがある人は多いと思います。
基本的に両者は同じ意味になりますが、実は、ほんの少しのニュアンスの違いで、使い分けられているんです。
例文を使うと分かりやすくなるので、この部分を説明していきたいと思います。
例①
例えば、ある日の夜中、激しい雷雨があったとします。
あまりに激しく被害が大きかったため、雷雨が翌朝ニュースになりました。
ニュースキャスターが、
「昨日未明、○○市で2時間に及ぶ雷雨で、2度にわたる落雷の被害がありました。」
と具体的な被害とともにニュースを読み、最後に「なんて”おそろしい”雷雨でしょう」と言いました。
それに対して、○○市に住んでいるあなたは、その雷雨の真っ只中にいました。
2時間も豪雨とともに、何度も何度も稲光と轟音が交互に起こりました。
きっとあなたは、すごく”こわい”と思ったことでしょう。
あなたは、この恐怖を人にいう時、「こわかった」と言うことはあっても、「おそろしかった」ということは、あまりないと思います。
それは、「こわい(怖い)」という言葉が、より主観的な感情を表すからなんです。
そして逆に、「おそろしい(恐ろしい)」という言葉が、より客観的な表現に向いているからなんです(「怖ろしい」という漢字も使われますが、これは常用漢字には入っていません)。
ニュースキャスターが言った「なんて”おそろしい”雷雨でしょう」は、とても客観的・第三者的ですよね。
なので、
- 「怖い」と書けば、やや主観的な表現
- 「恐い」と書けば、やや客観的な表現
と使い分けることができます。
つまり、「自分に危害が及ぶかどうか」を基準に考えれば使い分けができると思います。
- 昨日、すごく怖い夢を見たよ。
- ごめんなさい、私、怖い話は苦手なんです。
なら、自分に危害が及ぶ可能性がありますよね。
なので「怖い」が適しています。
逆に、下記ならどうでしょうか。
- 昨日、渋谷で恐い事件が起きたんですよね。
これは、自分とは関係がない客観性が高い言葉ですよね。
これなら、より第三者的な「恐ろしい」という言葉に置き換えもできると思います。
- 昨日、渋谷で恐ろしい事件が起きたんですよね。
このように、ほんの少しのニュアンスによって使い分けが可能となります。
まとめ
今回はかなり細かく使い分けについて話しましたが、ポイントは2点です。
- 常用漢字かどうか
- 主観的・客観的かどうか
たまにネットで、「主観的・客観的かどうか」という使い分け都市伝説だという意見もありますが、実際に小学館が発表している辞書にもこのような微妙な意味の違いは、しっかりと記載されています。
実際に、思い返してみれば主観と客観による使い分けは、きっと無意識にしていると思います。
ですが、本当にどちらの漢字を使おうか困った時、常用漢字の「怖い」を使うことをおすすめします。