牛肉の部位一覧|13部位・希少部位を「筋肉の履歴書」で読み解く【取れ高・値段・調理温度】

 

牛肉の部位一覧|13部位・希少部位を「筋肉の履歴書」で読み解く【取れ高・値段・調理温度】

牛の絵に線が引かれて、部位名がびっしり書き込まれた、あの図。焼肉屋の壁にも精肉店のブログにも必ずと言っていいほど貼ってあって、眺めているぶんには楽しいのですが、正直なところ、何度見ても「で、結局どれを頼めばいいのか」は分からないままでした。

それもそのはずで、あの図は牛を輪切りにした地図であって、味の地図ではありません。ザブトンとカイノミが図の上でいくら離れていても、その二つがなぜ違う味なのかは、線の位置からは読み取れないのです。

そこでこの記事では、部位を「牛の体のどこか」ではなく「その筋肉が、生きているあいだ何をしていたか」という視点で並べ直します。あわせて、部位の記事ではなぜかあまり書かれない三つの話――名前の体系が三重になっていること、1頭から何キロ取れて値段が何倍違うのかという数字、部位ごとの向き不向きを決めているのが調理法よりむしろ加熱の温度と時間だということ――を、公的資料と論文をあたって詰めました。

先に一覧で知りたい方へ

細かい話に入る前に、主要部位の位置づけを一覧にしておきます。数字の出典は後半で詳しく扱います。

ブロック 主な部位 そこにある希少部位 性格
まえ(前半身) ネック/ウデ(かた)/肩ロース/肩バラ ミスジ、トウガラシ、クリ、ザブトン、三角バラ、ブリスケ よく働いた筋肉。赤身が濃く、味が強い
ロイン(背中) リブロース/サーロイン/ヒレ シャトーブリアン 1頭の15.7%。きめが細かくサシが入りやすい
ともばら(腹) 中バラ/外バラ カイノミ、フランク 単独部位で最重量の57.2kg。脂が主役
もも(後半身) らんいち/しんたま/内モモ/外モモ/すね ランプ、イチボ、トモサンカク、シンシン、カメノコ 1頭の27.9%。赤身の本場だが価格は低め
副生物(正肉以外) タン/ツラミ/テール/ハラミ・サガリ/ホルモン各種 タン元、シビレ 13部位に入らない。ハラミもここ

部位の名前を覚える前に──実は「正式名称」が三つある

いちばん最初につまずくのがここです。同じ肉なのに卸売業者とスーパーと焼肉屋で呼び名が違うのは、方言でも隠語でもなく、それぞれ別のルールで動いている別の体系だからです。

牛は三段階で「分けられる」

と畜された牛は、まず背骨に沿って左右に割られて枝肉(えだにく)になります。この枝肉を骨から外して大きなブロックに分けたものが部分肉で、それを店でスライスしたりカットしたものが、私たちが買う精肉です。部位名の混乱の多くは、話し手がこの三段階のどこを指しているかがバラバラなことから生まれています。

三つの体系を並べてみる

①部分肉取引規格の13部位(業者間の共通言語)

公益社団法人日本食肉格付協会が定める「牛部分肉取引規格」では、ネック/かた/かたロース/かたばら/ヒレ/リブロース/サーロイン/ともばら/うちもも/しんたま/らんいち/そともも/すねの13部位に分けます。これがプロ同士の取引の土台になっている、いわば原器のような分類です。

この規格で興味深いのは、切る場所を骨で指定している点でしょう。リブロースとサーロインの境目は「第10〜第11胸椎跡間」、まえとロインの分離は「第6〜第7肋骨間」。職人の感覚ではなく、誰が見ても同じ位置にある骨を目印にすることで、全国どこで解体しても同じものが「サーロイン」として流通する仕組みになっているわけです。

②小売品質基準の11部位(スーパーの表示ルール)

店頭のパックに貼られるラベルは、また別の基準にもとづきます。農林水産省の資料によれば、食肉小売品質基準ではネック/かた/かたロース/リブロース/サーロイン/ヒレ/ばら/もも/そともも/らんぷ/すねの11部位。「かたばら」と「ともばら」が「ばら」にまとめられ、「うちもも」「しんたま」が「もも」に吸収されるので、売り場に出る段階で情報がひとまわり粗くなります。

③焼肉店のメニュー名(ルールなし)

そして焼肉屋には、この表示義務がありません。全国焼肉協会が明言しているとおり、「カルビ」は国が定めた部位名のどこにも存在しないのです。カルビは部位ではなくメニュー名で、バラを使うことが多いというだけですから、店が肩バラを出しても外バラを出しても嘘ではないことになります。

「上」「特上」も同じで、店内の相対的なランク付け以上の意味はありません。これを知ったときは長年だまされていたような気分になりましたが、正確に言えば、だまされていたのではなく、そもそも約束が交わされていなかったというだけの話です。

 

知っておきたい焼肉の部位

まえ(前半身)──「働いてきた筋肉」の宝庫

ここから体の前から順に見ていきます。前半身は牛の体重の大半を支え、頭を上げ下げし、歩くたびに動く場所ですから、全体としては筋肉質で赤身が濃く、味が強く出ます。そのかわり、その中にほとんど動かない例外的な筋肉が点々と埋まっていて、それが希少部位と呼ばれているわけです。

ネック

最もよく動く部位のひとつで、繊維が太く硬いため、ひき肉や煮込みに回されることが多い部位です。1頭から7.3kgほど取れ、旨味成分とゼラチン質は豊富に含まれています。

ウデ(かた)──希少部位が集中する激戦区

前脚のつけ根の塊で、「よく動く部位なのに柔らかい肉が採れる」という一見矛盾した性質を持っています。全国食肉学校の講師も、同じ肩肉の中で「みすじは霜降りで軟らかく、こさんかくは霜降りでも硬い」と、筋ごとにはっきり差が出ることを指摘しています。ブロック単位で語ると平均化されて実態を取り逃がす、ということです。

ミスジ

肩甲骨の外側に張りついた平たい筋肉で、真ん中を1本の太い筋が貫き、そこから羽根のようにサシが広がります。名前は三つの筋(すじ)から来ており、英国ではその見た目からFeather(羽根)、豪州ではOyster bladeと呼ばれます。解剖学的には棘下筋(きょくかきん)で、国連欧州経済委員会の食肉規格でもOyster blade/Top bladeは M. infraspinatus と明記されています。日本語の解説の中には大円筋とするものも見かけますが、これは隣接するウワミスジ(大円筋・肩甲下筋)との混同と考えたほうが自然でしょう。

トウガラシ(トンビ)

肩甲骨の前側、棘上筋にあたります。断面が唐辛子に似ているのが名前の由来で、別名のトンビもこの部位を指します。適度な弾力があって噛むほど味が出るタイプですが、1頭から2kg前後と量は少なく、ミスジほど有名になりきらないまま今に至っている印象があります。

クリ(カタサンカク)

上腕三頭筋の長頭で、栗のような三角形をしていることからクリと呼ばれます。よく動く筋肉なので繊維はしっかりしていますが、そのぶん赤身の味が濃く、薄く切ってしゃぶしゃぶにすると印象が変わる部位でもあります。

肩ロース

すき焼き・しゃぶしゃぶの主役で、1頭あたり41.3kgと、部分肉の中では「ともばら」に次ぐ重量級です。赤身と脂のバランスがよく、価格も手が届く範囲に収まるため、家庭で最も出番の多い高級部位と言っていいと思います。

ザブトン(ハネシタ)

肩ロースの中でも最もサシの入る一角を四角く切り出すと座布団のような形になるので、ザブトン。米国では近年デンバーステーキとして人気が出ました。ただし注意点があって、この塊は複数の筋肉の集合体であるため、一枚の中で途中から繊維の向きが変わります。同じブロックから切ったはずなのに当たり外れが出るのは、多くの場合これが原因です。

肩バラ(ブリスケ、三角バラ)

ブリスケは胸を支える深胸筋で、英語のBrisketが訛った名前です。北米ではスモークして長時間かけるバーベキューの花形ですが、日本ではもっぱら煮込みや切り落としに回ります。同じ肉が、国が違うだけで「安い煮込み肉」にも「行列のできる名物」にもなるわけです。

三角バラは肩バラの中でサシが最も強く入る部分で、「特上カルビ」として出てくることが多い部位です。

ロイン──1頭の15.7%しかない、背中の特等席

リブロース・サーロイン・ヒレの三つを合わせて「ロイン」と呼びます。農林水産省の調査によれば、部分肉全体336.5kgに対してロインはわずか15.7%。値段が高い理由の少なくとも一部は、単純に取れる量が少ないことで説明がつきます。

リブロースとサーロイン

どちらも背骨に沿って走る胸最長筋が主体で、正体はほぼ同じ筋肉です。第10〜第11胸椎のあいだで切って、前がリブロース(19.6kg)、後ろがサーロイン(24.3kg)。牛が体を支えるために常に軽く緊張してはいるものの、大きく動かすことはない場所なので、きめが細かくサシが入りやすくなります。

日本のサーロインは、アメリカだとリブアイになることがある

調べていていちばん驚いたのがこの点でした。米国式ではRib(リブアイ)を第6〜第12肋骨、Short loinを第13肋骨から後ろとしており、日本の分け方とは切る位置が2〜3本ぶんずれています。国や仕様によって肋骨を何本含めるかが違うので、同じ枝肉でも「どこまでがリブアイか」の答えが変わってしまうのです。

結果として、日本でサーロインとして売られている肉の前寄りの部分は、米国式に切れば「リブアイ」の領域に入ります。同じ牛の同じ筋肉が、包丁を入れる位置ひとつで名前も価格帯も変わる。しかも米国で “Sirloin” と呼ばれる部位は日本のサーロインではなく、むしろランプやシンタマのあたりを指すので、輸入牛のラベルを日本語の感覚で読むと、まず迷子になります。

ヒレ

背骨の内側にぶら下がる大腰筋で、四足歩行の牛にとっては、体重を支える仕事からほぼ完全に免除されている筋肉です。だから極端に柔らかい。1頭から8.8kgというのは、公的な調査で確認できる数少ない「希少部位の実際の取れ高」で、部分肉全体のわずか2.6%にすぎません。

シャトーブリアン

ヒレの中央、最も太い部分を指します。名前の由来はフランスの作家シャトーブリアンの料理人が考案したという人名説と、食肉の集積地シャトーブリアン市に由来するという地名説があり、フランス国立の語源資料でも両説が並記されたうえで「いずれも証拠なし」とされています。個人的には地名説のほうが地味で本当らしい気がしますが、これは完全に好みの問題です。

バラ──1頭で最も重く、最も安く、最も食べられている

ともばらは57.2kg、部分肉全体の17.0%で、単独部位としては断トツの最重量です。にもかかわらず卸値はロースセットの3分の1程度にとどまります。焼肉が国民食になれたのは、この「大量に取れて、しかも脂が乗っている」部位が存在したからだ、という見方はかなり説得力があると思います。

ともばらは、肋骨に近い背中側の中バラと、腹側の外バラに分けられます。中バラのほうがサシが強く「カルビ」に回りやすく、外バラは筋が入るぶん煮込みや切り落としに向きます。同じ「バラ」でも、この二つは別物と考えたほうが実態に合います。

カイノミとフランク

カイノミはバラとヒレの境目にある内腹斜筋で、切り出した形が貝の身に似ていることが名前の由来です。バラの脂の甘さと赤身の締まりが同居しているため、バラの一部でありながら赤身部位のように語られることが多く、フランス料理でいうBavetteにあたります。

フランクは腹直筋で、日本ではササミとも呼ばれます。腹壁を支え続ける筋肉なので繊維がまっすぐ強く走っており、味は濃いのですが、切る向きを間違えると途端に硬くなる部位でもあります。

なお、バラのすぐ内側に張りついている横隔膜――つまりハラミとサガリは、場所こそここですが、制度上は正肉に入りません。少し後の「正肉ではない部位」でまとめて扱います。

モモ──1頭の3割弱を占める「余りがちな主役」

うちもも、しんたま、らんいち、そともも、ともずねを合わせて27.9%と、ロインの倍近い量が取れます。ところが小売価格を見ると、ヒレを100としたときにもも41、かた39、すねに至っては21で、ヒレとすねではおよそ4.8倍の開きがあります。

ランイチ(ランプ・イチボ)

ランプは中殿筋・深殿筋、イチボは大腿二頭筋です。ランプは英語のrump(尻)そのままですが、イチボの語源はaitchbone(エイチボーン、寛骨)の訛りとされています。この呼び名は相当に古く、明治36年に出た村井弦斎の『食道楽』にすでに「俗に牛肉屋でイチボと云ふのは腰の三角肉で」という一節があり、120年以上前から日本の肉屋がイチボと言っていたことが確認できます。

シンタマ(芯玉)

丸い形からシンタマと呼ばれます。大腿四頭筋に大腿筋膜張筋を加えた5つの筋肉の集合体で、ここを解体すると希少部位がぞろぞろ出てきます。中心のシンシン(大腿直筋)、亀の甲羅に似たカメノコ(外側広筋)、そして三角形のトモサンカク=ヒウチ(大腿筋膜張筋、米国のTri-tip)です。

内モモ・外モモ・スネ

内モモは半膜様筋を中心とした、牛で最も大きな赤身の塊で、ローストビーフの定番です。外モモは後脚を蹴り出す筋肉なので繊維が強く、スネはさらに硬い。ただしこの硬さの正体は筋繊維だけではなく、腱と筋膜が入り組んだコラーゲンにあります。これが後半で効いてきます。

正肉ではない部位──ハラミ、タン、ツラミ、テール

ここまで見てきた13部位に、ハラミもタンもツラミもテールも入っていません。これらは制度上、正肉ではなく畜産副生物として扱われる部位です。ところが焼肉店の人気投票をとれば、上位はたいていタンとハラミが占めます。正肉の枠の外に、正肉より人気のある部位が並んでいるわけです。

ハラミとサガリ

横隔膜です。ハラミが外周部、サガリが腰椎側のぶら下がっている部分で、見た目も食感も赤身肉なのに、流通上は正肉ではなく内臓に分類されます。英語ではハラミがOutside skirt、サガリがHanging tenderです。

横隔膜は、牛が生きているあいだ一度も休まず動き続けた筋肉です。呼吸するかぎり止まらない。そういう筋肉には遅筋線維(赤筋)が多く、遊離アミノ酸が豊富で味が濃くなる傾向があることが知られており、ハラミの味の濃さはその働き方から素直に説明がつきます。

ついでにもうひとつ。ハラミは「赤身だからあっさり」と紹介されることが多いのですが、日本食品標準成分表で牛の横隔膜(生)を引くと、可食部100gあたり288kcal、脂質27.3gとあります。和牛のもも赤身が10.7g、ヒレ赤身が15.0gですから、数字の上ではあっさりどころか、かなり脂の多い部位です。それでも重く感じないのは、脂の量ではなく質と繊維の細かさによるところが大きいのでしょう。ここは断定できる資料が見つからなかったので、推測として書いておきます。

タン

舌です。1頭に1本しかなく、可食部は1〜1.5kg程度。根元から順にタン元・タン中・タン先と呼び分け、根元ほど脂が乗って柔らかく、先端へ行くほど締まって歯ごたえが強くなります。

ここでも「よく動く筋肉ほど硬い」という原則がそのまま効いています。舌は採食にも反芻にも毛づくろいにも使われますが、動きが大きいのは先端側です。1本の中に硬さのグラデーションが丸ごと入っている部位は、牛では他にありません。タン元だけを厚切りにして高値がつくのは、そこが1本のうち数枚しか取れない場所だからです。

ツラミ

頬肉、咬筋です。牛は反芻動物なので、この筋肉の稼働時間が他の動物とはまるで違います。中央酪農会議の資料によれば、牛の反芻は1日6〜10時間、1時間あたり40〜60回のペースで続きます。食べている時間はこれに含まれませんから、咬筋は眠っているとき以外ほぼ動きっぱなしということになります。

その結果、繊維は細かく詰まり、ゼラチン質を多く含む肉になります。赤身なのに煮込むととろけるという、一見矛盾した性質はここから来ています。フランス料理では joue de bœuf として煮込みの定番です。

テール

尾です。尾椎の周りの筋肉と結合組織を、骨ごと輪切りにして流通します。実質的にコラーゲンと骨の塊なので、後半で扱う「温度×時間」の話がそのまま当てはまる部位で、テールスープが長時間煮込みを前提にしているのは必然と言えます。

さらに牛肉に詳しくなれる知識

数字で見る牛1頭──「希少部位」という言葉の正体

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。部位の解説はどこも「希少部位です」と繰り返すのに、どれくらい希少なのかを数字で示してくれない。調べてみたら、公的な資料にはちゃんと載っていました。

生体800kgが、336kgになるまで

黒毛和種の去勢牛は、およそ28〜30か月齢、生体重800kg前後で出荷されます。家畜改良センターの令和5年度集計では、黒毛和種去勢の平均枝肉重量は514.5kg、平均出荷月齢は29か月台です。北海道の肥育管理指針には生体800kg→枝肉480kgという目安が示されており、枝肉歩留はおよそ6割ということになります。

そこから骨と余分な脂を外した部分肉の歩留は、農林水産省の調査で69.7%、フルセットで336.5kg。つまり生体800kgの牛から部分肉として取れるのは、ざっと4割ということです。

なお、この336.5kgは「全国の牛の標準値」ではなく、食肉事業者7社・38頭(黒毛和種、原則去勢、A4等級中心)の平均値です。個体や等級でばらつきますが、部位間の比率をつかむには十分に使えます。

部位別の重量と、価格の落差

部位 重量(kg) 構成比 小売価格指数(ヒレ=100)
ともばら 57.2 17.0% ―
かたロース 41.3 12.3% 54
かた(ウデ) 37.5 11.1% 39
かたばら 34.7 10.3% ―
サーロイン 24.3 7.2% 70
そともも 23.9 7.1% 41(もも)
うちもも 22.2 6.6% 41(もも)
しんたま 21.4 6.4% ―
らんいち 20.1 6.0% ―
リブロース 19.6 5.8% ―
ヒレ 8.8 2.6% 100
ネック 7.3 2.2% ―
すね(前後計) 14.5 4.3% 21

(重量=農林水産省「食肉流通段階別経費調査報告書」令和5年度、事業者7社・38頭の平均。価格指数は同報告書による2023年6月時点、量販店7社・専門店9社の平均値)

「希少だから高い」の、もう半分の理由

この表を眺めていると、取れ高が価格を左右する大きな要因のひとつであることは、まず間違いなさそうに見えます。ヒレが8.8kgしかなくて指数100、すねが14.5kgで21。ただし、これは相関であって、取れ高が価格差の主因だと実証した調査ではありません。等級、用途、外食需要、加工のしやすさなど、価格を動かす要素はほかにもたくさんあります。

実際、量だけでは説明できない部分がはっきりあります。モモは1頭の3割弱、ロインの倍近く取れるのに、価格はロインの半分以下。取れる量が多いから安いというより、日本の食べ方がロインとバラに偏っていることの影響も無視できないと考えたほうが自然でしょう。農林水産政策研究所の分析でも、ロースが高級食材、ももが低級食材として価格に差がつけられ、高級部位ほど価格変動が大きいことが指摘されています。

この構図の変化を示す数字として面白いのが輸出のデータです。2024年の和牛輸出実績では、ロイン系が数量の46%・金額の61%、単価8,375円/kg。カタ・モモ系は数量35%で単価4,744円/kgでした。注目すべきはロイン系のシェアが前年の53%から46%へ下がり、その分がカタ・モモ系とバラ系に移っている点で、海外で非ロイン部位の販路が広がり始めていると読めます。国内の需給にどう跳ね返るかは、これからの話です。

ついでに言えば、「希少部位」という言葉には明確な定義も閾値もありません。3kg以下と説明するサイトもあれば、45部位のうち相当数に「希少」タグを付けている業者もあります。希少性はある程度まで売り手が作っている言葉だと思っておくくらいが、ちょうどいい距離感かもしれません。

部位ごとの正解を決めるのは、温度ではなく「温度×時間」

「ヒレはステーキ、スネは煮込み」――どの記事にも書いてありますが、なぜそうなるのかを加熱の条件から説明しているものは、探した範囲ではほとんどありませんでした。ここを押さえると、部位の話が一気に実用になります。

コラーゲンは「何度で」ではなく「何度で何時間」

肉の中でコラーゲンが収縮を始めるのは、およそ65℃です。ゼラチン化については、東洋食品研究所の報告に「65℃以下ではゼラチン化はほとんど起こらないか、長時間を要する」「75〜85℃を超えると急速に進む」とあります。この「長時間を要する」という但し書きが、実はとても重要です。

低温調理の研究がそれを裏づけています。牛ショートリブを60・65・70℃×12・24・36時間の組み合わせで加熱した2022年の研究では、可溶性コラーゲンの割合は温度と時間の両方に応じて有意に増加し、硬さ(せん断力価)だけを見れば36時間なら70℃のほうが60℃より低い、つまり軟らかくなるという結果が出ています。そのうえで、食感やドリップロスを含めた総合的な最適条件は60℃・約34時間と算出されました。

ここから引き出せる結論は、思っていたよりずっと実践的です。短時間で片づけたいなら75〜85℃以上の高温が必要になるが、時間を十分にかけられるなら60℃前後でもコラーゲンは溶ける。「弱火でコトコト」と「低温調理」は、対立する方法ではなく、温度と時間のどこにお金と手間を払うかという配分の違いなのです。

逆にヒレやサーロインのようにコラーゲンの少ない部位では、そもそも溶かすべきものが多くないので、65℃を超えるメリットが乏しくなります。秋田栄養短期大学の実験では、45〜65℃では表面の水分が蒸発する程度なのに対し、65℃以上では肉が収縮して内部の肉汁が外へ搾り出されることが確認されています。ミディアムレアが約65℃とされるのは、この境界線のぎりぎり手前だからです。

安全面では、内閣府食品安全委員会が中心温度63℃で30分、70℃で3分、75℃で1分という基準を示しています。大事なのは、これが「63℃のお湯に30分つける」ではなく「肉の中心が63℃に達してから30分」だという点です。牛モモ肉300g・厚さ3cmで中心温度に達するまで約94分という実測も公表されており、低温調理では時間をかなり多めに見る必要があります。

サシが柔らかい、本当の理由

「霜降りは脂が溶けるから柔らかい」とよく言われますが、農研機構の研究はもう少し踏み込んだ答えを出しています。

脂肪含量27.9%の牛肉と8.5%の牛肉を比べると、せん断力価(硬さ)は1.4kg対6.8kg。ここまでは想像どおりです。興味深いのはその先で、筋内膜のコラーゲン線維の構造そのものには両者で違いが認められませんでした。違いは配置にあり、低脂肪の肉では結合組織のネットワークが筋周膜で密に結合されているのに対し、高脂肪の肉では脂肪組織の跡によってそのネットワークが物理的に分断されていたのです。

サシは柔らかさを「足している」のではなく、硬さの原因を「壊している」。この説明を読んでから、霜降りの見方が少し変わりました。

繊維に直角に切る

筋繊維は加熱しても消えず、長いまま残ります。繊維に沿って切ると長い繊維がそのまま口に入るので硬く感じますが、垂直に包丁を入れれば、その時点で繊維は短く分断されています。外モモ、そともも、フランクのような繊維の強い部位では、焼き方を工夫するより先に切る向きを見るべきです。

ザブトンのように途中で繊維の向きが変わる塊では、一枚の中で切る角度を変える必要があります。プロが同じブロックを何度も向きを変えながら切っているのは、そういう理由です。

名前をたどると、日本の肉食史が出てくる

最後に、部位名の由来を少しだけ。単なる雑学に見えて、日本人がどこから牛肉の食べ方を学んだかの記録になっています。

英語から来た名前

ロースは英語のroast(ローストに適した部位)の転訛で、日本で生まれた語です。だから英語のloinとは範囲が一致しません。ほかにイチボがaitchbone、ランプがrump、ブリスケがbrisket。明治の肉屋が耳で聞き取った英語が、そのまま今も現場で生きているわけです。

なお胸腺や膵臓を指すシビレは英語のsweetbreadに対応する部位ですが、日本語の呼び名がその転訛なのかどうかは、断定している資料を見かけるものの裏が取れませんでした。

サーロインの「サー」は、たぶん作り話です

「あまりに美味だったので王がSirの称号を与えた」という話は、ヘンリー8世説、ジェームズ1世説、チャールズ2世説と三つのバージョンが伝わっていますが、これは典型的な民間語源です。実際の語源は16世紀のフランス語 surloigne(sur=上+loigne=腰肉)で、後にフランス語側でloinが標準形になったため、英語話者にはsur-が余計な要素に見えるようになり、あの逸話が生まれたと考えられています。

日本の精肉業者のサイトでは今もSir説が主流ですが、話としては断然そちらのほうが面白いので、まあ、生き残るのも分かります。

形から来た名前

ザブトン(座布団)、カイノミ(貝の身)、クリ(栗)、トウガラシ(唐辛子)、カメノコ(亀の甲羅)、そしてトモサンカクの別名ヒウチ(火打石)。英語由来の名前がロインやモモといった大きな部位に集中しているのに対して、形の名前は筋肉ひとつひとつを外す作業から生まれています。

大きなブロックをステーキに切る米国式と比べると、日本の解体は筋肉単位で分けるフランスの流儀に近いようにも見えます。ただ、それを裏づける資料に行き当たったわけではないので、あくまで並べて眺めたときの印象です。

まとめ:部位図は「地図」ではなく「履歴書」

長くなったので、覚えて帰っていただきたいことを絞ります。

  • 名前は三重構造。業者間の13部位、小売表示の11部位、焼肉屋の自由なメニュー名。「カルビ」は部位名ではありません。
  • 取れ高は価格を左右する大きな要因のひとつ。ヒレは1頭8.8kg(部分肉の2.6%)、ともばらは57.2kg(17.0%)。ヒレとすねの小売価格指数は約4.8倍差です。
  • 硬い/柔らかいの鍵はコラーゲン、そして温度×時間。75〜85℃なら短時間で溶けますが、60℃前後でも数十時間かければ溶けます。
  • サシは硬さを壊している。脂が結合組織のネットワークを物理的に分断することで柔らかくなります。
  • 切る位置が違えば、名前も値段も変わる。日本のサーロインの一部は、米国式に切ればリブアイです。

あの部位図をもう一度見てください。線は牛を切る場所を示しているようでいて、その筋肉が生涯どう働いたかの境界線でもあります。走った筋肉、支えた筋肉、休んでいた筋肉、一度も止まらなかった筋肉。それぞれに違う味がつくのは、考えてみれば当たり前のことでした。

次に焼肉屋に行ったら、いちばん安いカルビといちばん高い希少部位を一緒に頼んでみてください。値段の差の理由が、今までとは少し違って見えるはずです。

参考資料

頭部~首

名称 説明

タン

牛の舌です。焼肉ではスライスにしたものが最適ですが、厚切り牛タンも近年では人気が高くなってきています。
舌のつけ根(タンモト、タンツラ)は、脂がのった霜降りで柔らかな部位です。
舌全体では、1.5kg程のボリュームになります。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★★☆☆☆
ツラミ/ホホニク 牛の頬肉にあたる部分で、一頭の牛からほんのわずかしか取れない希少な部位です。
焼肉通の人にはとても人気の部位になります。
よく動かす部分のため、濃厚な味わいと歯ごたえが特徴です。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★☆☆☆
カシラ ツラミに近いところにあって、コメカミと頬のあたりの部位になります。
本来、脂肪分が多いと柔らかいと思われがちですが、カシラは脂肪分が多い割に硬い歯ごたえで、常識をくつがえすレアな食感でコアな人気があります。
脂のノリ★★★☆☆ レア度★★★☆☆
ネック 首周辺の肉です。草を食べたりかんだり歩くときなど、よく動く部位なので筋肉が多く、キメが荒く硬くて筋っぽい部位になります。すね肉程ではないものの結構な硬さがありますが、脂肪分が少なく、コクがあり濃厚でうまみやエキスも豊富です。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★☆☆☆

肩

名称 説明
ミスジ 一頭から2kg程しかとれない希少部位です。肩甲骨付近であり、あまり動かさない部位なので柔らかく、肩~腕の中ではとても良い霜降りが入り、独特の濃厚な味わいを楽しむことができます。脂量の割にしつくこくなく、トロける食管が魅力です。
脂のノリ★★★★★ レア度★★★★★
サンカク 肩から腕あたり、肋骨の前3分の1あたりの超レアな部位で、肩バラの中で最も美しい霜降り肉です。味わいは濃厚で、脂分が多くこってりプルプルした食感は大トロのようです。
特上カルビとして出す店もあるようです。
脂のノリ★★★★★ レア度★★★★★
ハネシタ/ザブトン 肩ロースのアバラ骨付近にある部分で、1頭から3~4kg程しかとれない貴重な部位。芸術的な霜降りが特徴で、脂分が多くこってりして、柔らかく濃厚な味わい。
焼肉店によっては「特上ロース」として出されることもある。
脂のノリ★★★★★ レア度★★★★★
トウガラシ 肩肉に隣接する筋肉の部分。とうがらしの形に似ているからついた名前です。モモ肉に良く似た、これぞ赤身とも言える部分で、かむほどに旨味が広がり、味わいが口の中に溢れます。
高級なユッケやローストビーフやなどに使われることもあります。
脂のノリ★★★★★ レア度★★★★★

ロース

肩から腰にかけての部位です。一頭から取れる量が多いので、牛肉の中で最もメジャーですね。焼肉でもステーキでもしゃぶしゃぶでも良く見かけます。

脂身の色が真珠色に近い方が良いロース肉といわれます。また、肋骨が付いた状態で切り分けられた肉はチョップと言われます。

名称 説明
肩ロース 肩に位置し、背骨の両側にそって前後についている頭に最も近い部分のロースです。また、バラ肉に近い部分や周辺の筋肉も含まれます。
きめも細かくやわらかく、風味が良いのが特徴です。
脂のノリ★★★☆☆ レア度☆☆☆☆☆
リブロース 肩ロースに続く後ろの部位で、最も肉厚があります。きめが細かく柔らかく、霜降りになりやすいのが特徴です。
脂の濃厚な味わいがあり、ステーキ、すき焼きやしゃぶしゃぶに向いています。
脂のノリ★★★☆☆ レア度★☆☆☆☆
サーロイン リブロースからモモに続く部位です。柔らかく甘みがあり霜降りも多く、牛肉の中では最高の肉質と言われています。その美味から「サー(Sir)」の称号を受け、「サーロイン」と呼ばれるようになったと言われています。
ステーキはもちろん、すき焼きやローストにも最適です。
脂のノリ★★★★☆ レア度★☆☆☆☆
ヒレ
(フィレ、ヘレ)
サーロインと並ぶ高級部位で、サーロインの脊椎内側の細長い筋肉にあたる部位です。脂が少ないので甘みはありませんが、上品な味わいが特徴です。最も柔らかい部位と言われています。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★★☆☆
シャトーブリアン 細長いヒレ肉の中心部で、最も肉厚があり肉質の良い部分です。赤身ながらとてもきめ細かで柔らかく、一度食べたら忘れられないと言われる幻の肉です。
ヒレ肉自体が稀少なのに、その中でもさらに稀少部位です。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★★★★

スジ肉

名称 説明
スネ スネにあたる部位で、最も運動量が多いので、脂肪分がほとんどなく筋やケン多くとても硬い肉です。ですが、味わいはとても濃く色合いも濃いです。長い時間煮込むととても柔らかくなり、カレーやシチューにぴったりな食材となります。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★☆☆☆☆
アキレス 足の後ろ側にある、スジ肉の中で最も美味といわれるのがアキレス腱です。この部位は「牛スジ」とも言われます。煮込むと柔らかくなるので、おでんでは人気ですね。円柱状で、ほとんど脂肪がなく、コラーゲンが豊富に含まれており、濃い味わいが特徴です。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★★★★☆
スジ 下処理で肉についている筋を集めたもののことです。処理されていない赤身や脂が付いていることもあります。煮込むと柔らかくなるので、たくさんの料理で使われていますね。
横隔膜も似た肉質なので、スジとして扱われることもあります。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★☆☆☆☆
カッパ 前腹の皮と脂身の間にあるスジ肉です。少し硬さがあるものの、濃厚な肉の味わいが特徴でです。薄切りにして歯ごたえを楽しむ人もいるようです。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★★★☆☆

モモ~お尻

名称 説明
ランプ サーロインからつながる部分で、腰(もも)からお尻にあたる部位です。
ロースほど霜降りは入らないので、やや赤身が多く、やわらかくなめらかな肉質が特徴です。また肉汁も豊富です。
ユッケに使われることも多いです。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★★☆☆
イチボ 牛の臀部の先、つまりお尻の先の部分にある希少部位です。ランプの隣ですが、ランプより霜降りが多いのが特徴です。
きめは粗いですが、霜降り特有の甘さと赤身の旨みを両方楽しめるので人気のある部位です。
脂のノリ★★★☆☆ レア度★★★☆☆
外モモ 赤身中心で、内モモよりもやや硬い肉質で歯ごたえがあります。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★☆☆☆☆
内モモ 最も脂肪分が少ない赤身の部位で、低カロリーです。また、外モモより柔らかくあっさりしています。
脂が苦手という人にはオススメの部位です。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★☆☆☆☆
シンタマ ウチモモの下にある球状の塊の部分です。外側はややスジがあって硬いですが、シンシンという中心部分はきめ細かく味が濃いです。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★☆☆☆
ヒウチ 牛の内モモの一部で、シンタマ内の1つ。モモ肉の中でもサシが絶妙なバランスで入るため、とても美味です。
コアなファンも多く、とても人気があります。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★★★★
シンシン シンタマの中心部分です。少し筋はありますが、ヘレのような柔らかさと濃厚な味わいが特徴です。
あっさりしたクセの少ない味わいは、通にはたまらない部位です。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★★★★
テール しっぽの部分です。とても硬い部分ですが、脊髄部分がゼラチン状になるまで煮込むととてもおいしくなり、また高タンパクでコラーゲンも豊富なので、スープに良く使われます。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★★★★☆

バラ肉

名称 説明
カルビ 焼肉とくれば「カルビ」と思う人も多いはず。脂身と赤身の絶妙なバランスからその高い人気を誇ります。
肋骨周辺の肉のことで、元々は「アバラ骨の間の肉」という意味です。牛の中でも幅広い意味を持ち、正確な部位分けは難しいです。
脂のノリ★★★★☆ レア度☆☆☆☆☆
カイノミ ヒレに近く、わき腹のあたりに位置しているバラ肉で、ヒレような赤身の柔らかさを持つ部位です。一頭から左右対象の1ブロックしか取れないのでとても希少です。文字通り貝のような形をしています。
あっさりですが、しっかりとした上品な味わい特徴です。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★★★☆
フランク カイノミと連結している部位で、外バラの先端部分にあたります。バラのように何層もの筋肉が重なっておらず、1つの薄い筋肉の塊になっています。
カルビのようなしつこさがないことから「あっさりとしたカルビ」というイメージで、コアなファンも多い部位です。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★★★☆

その他

名称 説明
チチカブ 牝牛の乳房にあたる部位です。乳汁を搾り出して、洗浄したもので、一頭から4つ取ることができます。
歯ごたえがあり、とても美味です。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★★☆☆

 

焼肉の部位の名称 (ホルモン)

名称 説明 味
ハラミ 横隔膜にあたる部位です。人気のある部位のひとつですね。
肋骨側の厚い部分をサガリ、横隔膜の背中側をカクマクと呼びます。一見赤身のように見えますが、内臓筋なのでカロリーはあまり高くはありません。
肉質は柔らかく、適度に脂もあることが特徴です。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★☆☆☆
サガリ ハラミの中でも、下に垂れた肋骨部分の厚い部分です。ハラミより脂の量が少なく、あっさりしているところが特徴です。
低カロリーでヘルシーですが、一頭の牛から1kg程しか取れないレアな部位です。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★★★☆
マルチョウ
小腸です。ホソ、コテッチャン、コプチャン、ヒモとも呼ばれます。大腸に比べるとやや薄いですが、甘みのあるたっぷりの脂がのっています。
脂のノリ★★★★☆ レア度★☆☆☆☆
シマチョウ
大腸です。主に関西ですが、テッチャンとも呼ばれます。マルチョウより脂身はありませんが、厚みがあり、独特の歯ごたえを楽しむことができます。また下処理が難しいため、店の腕の見せ所のぶいでもあります。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★☆☆☆
テッポウ 直腸です。シマチョウやマルチョウに比べ、脂のノリは少ないですが、濃厚で深みのある味わいです。焼肉にもありますが、煮込み料理にもよく使われます。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★★☆☆
ウルテ のどにある軟骨で、最も堅い部位の1つと言われています。店では包丁が入れてあったり下準備されてたりもします。なかなかマニアック部位のひとつです。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★★★★☆
レバー 肝臓です。栄養価も高くて鉄分も高い人気のある部位ですね。プルプルした見た目ですが、最近は生で食べることができないので、しっかり焼いて食べましょう。独特の食感と味わいは根強いファンが多いですね。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★☆☆☆☆
ハツ、ココロ 心臓部分です。脂身はあまりなく、またホルモン独特のクセもなく、キメ細かく肉厚もありながらもコリコリした食感が特徴です。
ビタミンB12が豊富に含まれています。
「hearts」が語源となったと言われています。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度☆☆☆☆☆
コリコリ、ハツモト 心臓の付け根にある大動脈の部位です。適度に脂がのったコリコリとした食感ながらも、噛み切れないわけでもない絶妙なところ。
イカのように白い見た目が特徴です。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★★★☆
ミノ 四つある牛の胃袋のうち、第一胃袋です。ミノの中でも、上ミノは中央部分のぶ厚いところです。
胃の中では脂がのっている方で、弾力のある歯ごたえが特徴です。
たんぱく質や、貧血防止に効くビタミンB12が豊富です。
脂のノリ★★★☆☆ レア度☆☆☆☆☆
ミノサンド(サンドミノ) 第一胃袋の中でもわずかしか取れない希少部位。
コリコリしたミノの中に、フワッとした絶妙な甘みの脂が挟まれています。
ミノや上ミノよりもおいしいとされています。
脂のノリ★★★★★ レア度★★★☆☆
ハチノス 第二胃袋です。やわらかく淡泊な味わいですが、弾力があってかみ応えがあります。また、コラーゲンも豊富です。
六角形の穴がある見た目からハチノスという名前になったそうです。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★☆☆☆☆
ヤン 第二胃袋と第三胃袋をつなぎとめている部位です。コリコリとした食感、味もあっさりめで、まさにハチノスとセンマイの中間のような感じです。
一頭から100gも取れない超希少部位です。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★★★★★
センマイ 第三胃袋です。黒っぽくつぶつぶしたヒラヒラがついています。脂は少なくさっぱりした味わいが特徴で。鉄分やコラーゲンが豊富です。
濃厚な味わいのホルモンの中では、箸休め的なポジションで好まれています。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★☆☆☆☆
ギアラ、赤センマイ 第四胃袋です。赤みがかった見た目に、適度に脂ののったかみ応えが特徴です。ですが、かみ応えはミノほどではありません。マニアな人にはとても人気のある部位です。
脂のノリ★★★☆☆ レア度★☆☆☆☆
シビレ すい臓や胸腺です。フワっとした柔らかな食感で、脂身はそれほどなくクリーミーな味わいが特徴です。
フランス料理やイタリア料理で特に使われることが多く、フォアグラのような味わいと例えられることが多いです。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★★☆☆
リードヴォー 仔牛のすい臓や胸腺です。ややクセはあるものの濃厚な脂で、口の中でどろっとするような、白子のような食感です。すべての仔牛から取れるわけではないので、希少度は極めて高いです。
脂のノリ★★★★☆ レア度★★★★★
マメ 腎臓です。独特の香りがあるので、好き嫌いが分かれやすいです。味はレバーに似ていますが、砂ずりを柔らかくしたような食感が特徴です。
脂のノリ★☆☆☆☆ レア度★★★★☆
コブクロ 子宮です。味はクセがなく淡泊で、コリコリした食感が特徴です。
脂のノリ☆☆☆☆☆ レア度★★★☆☆
ネクタイ 食道です。見た目はあまりホルモンっぽくなく、まるで赤身のようです。脂も少なくヘルシーです。
ネクタイのように見えることからこの名前がついたそうです。
脂のノリ★★☆☆☆ レア度★★★☆☆

 

焼肉で知っておかなければならない言葉

霜降り

霜降り肉とは、脂肪が筋肉の間に細かく網の目のように入っているもののことを言います。

霜降りの度合いは、一般に脂肪交雑によって等級に分けられ、肉質の目安とされる。

サシ

霜降りの脂部分のこと。牛肉などで、赤身の中に網の目のように入っている脂肪を指します。

 

焼肉の部位 人気ランキング

ランキング ベスト10

順位 名称 %
1位 カルビ 39%
2位 タン(厚切り含) 37%
3位 ロース 30%
4位 ハラミ・サガリ 26%
5位 ヒレ 17%
6位 サーロイン 12%
7位 トントロ 10%
8位 ミスジ 9%
9位 バラ 8%
10位 レバー 7%

やはりカルビが1位となりました。脂身と赤身の両方を楽しめる強さは圧倒的ですね。

ですが、タンも根強い人気で、女性に限っての人気はタンがダントツの1位でした。

近年では厚切り牛タンも人気が出ていますね。

その他の注目点としては、ミスジといった稀少部位が近年急上昇してきています。焼肉も高級志向となった点と、稀少部位でもわりと安価に手を出せる店が多くなったという事もあると思われます。

ですが、やはりホルモンの人気は高いわけではなく、赤身が好きだけどホルモンもたまに食べると好きといった位置づけになっています。ですが、一部のコアなファンも多いですね。