スーパーの精肉コーナーや焼肉店で「A5ランク」と書かれていると、それだけで特別においしい牛肉のように感じます。
私自身も以前は、「A5=牛肉のおいしさを採点した最高点」のようなものだと思っていました。
ところが、日本食肉格付協会の牛枝肉取引規格を詳しく見ていくと、A5という2文字が直接表しているのは「味」ではありません。

しかも調べていくと、同じA5でも霜降りの程度にはかなり幅があること、A5は和牛だけに付く称号ではないこと、さらには近年、和牛去勢牛ではA5が6割を超えるまでになっていることが分かります。
A5という2文字から、私たちは実際には書かれていない情報まで読み取ってしまっているのかもしれません。
この記事では、牛肉の格付け方法を基本から整理しながら、「A5」の数字だけでは見えてこない格付けの裏側まで掘り下げます。
まず1分で分かる「A5」の意味
最初に結論を整理すると、A5は次の二つの評価を組み合わせたものです。
| 表示 | 意味 | 何を見ている? |
|---|---|---|
| A | 歩留等級 | 枝肉から部分肉をどれくらい効率よく取れるか |
| 5 | 肉質等級 | 脂肪交雑、肉の色沢、締まり・きめ、脂肪の色沢と質 |
| A5 | A+5 | 歩留等級Aかつ肉質等級5 |
つまり、「A5=味が5点満点」という意味ではありません。日本食肉格付協会の牛枝肉取引規格でも、歩留と肉質はそれぞれ別に格付けし、それを「A5」「B4」のように連記する仕組みになっています。
「A5」の英語の部分とは?
まず「A」の部分は、歩留等級です。
A・B・Cの3段階があり、枝肉から商品となる部分肉をどれくらい効率よく得られるかを表す指標です。
その判定には、胸最長筋、いわゆるロースしんの面積だけでなく、「ばら」の厚さ、冷と体重量、皮下脂肪の厚さが使われます。
計算式は次のようになっています。
歩留基準値 =67.37 +(0.130×胸最長筋面積) +(0.667×ばらの厚さ) -(0.025×冷と体重量) -(0.896×皮下脂肪の厚さ)
そして、72以上=A、69以上72未満=B、69未満=Cとなります。
数式を見ると面白いことが分かります。胸最長筋が大きく、ばらが厚ければ数値は上がります。
一方で、皮下脂肪が厚くなるほど数値は下がる仕組みです。
「A」は「ものすごくおいしい」という意味ではなく、正式には「部分肉歩留が標準より良いもの」であり、枝肉から利用できる肉を効率よく得られるかという、生産・流通上の評価なのです。
実は黒毛和種などには「+2.049」される
ここには、あまり一般の解説記事では見かけないルールもあります。
黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種と、その4品種間の交雑牛については、先ほどの計算結果に2.049を加算して歩留基準値を求めます。
同じ計算式をすべての牛にそのまま当てはめているわけではないのです。
ただし、計算上Aになったから必ずAというわけでもありません。
切開面の筋間脂肪が相対的に厚い場合や、「もも」の厚みに欠けて「まえ」との釣合を著しく欠く場合など、規格上の条件によって1等級下げることが認められています。
A・B・Cだけを見ると単純な3段階評価に見えますが、その裏ではかなり細かい判定が行われています。
「A5」の数字の部分とは?肉質等級決める4つの項目
一方、「5」は肉質等級です。
こちらは5・4・3・2・1の5段階で、
- 脂肪交雑
- 肉の色沢
- 肉の締まり及びきめ
- 脂肪の色沢と質
という4項目を判定します。
ここで面白いのが、4項目の平均点ではないことです。
4項目のうち、一番低い等級が最終的な肉質等級になります。
たとえば脂肪交雑=5、肉の色沢=5、締まり・きめ=4、脂肪の色沢と質=5であれば、最終的な肉質等級は「4」になります。
霜降りだけが突出していても5にはなれません。
「A5=霜降りがすごい肉」という理解も、正確には少し足りないわけです。
A5は「味の点数」ではない
そして、この4項目をもう一度見てみると、あるものが入っていないことに気づきます。
味です。
香りもありません。
格付員が肉を焼いて食べ、「これはうまいから5」と採点しているわけではないのです。
農林水産省も、牛肉の「おいしさ」には味、香り、食感といった食味に加え、食べる人の嗜好、体調、食習慣なども影響すると整理しています。
したがって、A5=一番おいしい牛肉と理解するのは正確ではありません。
A5はあくまで、日本の牛枝肉取引規格において、歩留等級A+肉質等級5と判定された枝肉を意味します。
もちろん、脂肪交雑が豊富で、肉や脂肪の色沢、締まり、きめなどが高く評価された肉なので、それを「おいしい」と感じる人は多いでしょう。
しかし、自分が一番好きな牛肉かどうかは、また別の話なのです。
A5の基準をもっと詳しく
同じ「A5」でも、実はBMS8から12まである

ここからが、A5という表示の面白いところです。
霜降りの程度を評価するときには、BMS(Beef Marbling Standard)という基準が使われます。
BMSはNo.1からNo.12まであり、肉質等級1=BMS No.1、肉質等級2=No.2、肉質等級3=No.3~4、肉質等級4=No.5~7、肉質等級5=No.8~12という関係になっています。
ここで注目したいのが、一番上です。
BMS8もBMS12も、どちらも肉質等級では「5」として扱われます。
もちろん肉質等級5になるには、脂肪交雑だけでなく残り3項目も5でなければなりません。
しかし条件を満たせば、A5・BMS8も、A5・BMS12も、店頭では同じ「A5」という表示になります。
5が最高だからその先はない、というわけではなく、A5という二文字の中にも、さらに幅があるのです。
これだけでも、「A5」という表示だけで牛肉の特徴をすべて判断するのが難しいことが分かります。
A5と「和牛」は、実は別の情報
もうひとつ誤解されやすいのが、「A5」という言葉と「和牛」の関係です。
A5は和牛の品種名でも、和牛だけに用意された称号でもありません。
日本食肉格付協会の牛枝肉取引規格には、子牛を除き、品種・年齢・性別にかかわらず枝肉に適用すると明記されています。
「和牛」は牛の品種などに関する区分であり、「A5」は枝肉を格付けした結果です。
「A5和牛」という言葉を頻繁に目にするため二つがセットのように感じますが、A5だから和牛なのではありませんし、逆に和牛だから必ずA5になるわけでもありません。
ここを切り分けると、A5という表示が何を意味しているのかがかなり分かりやすくなります。
A5は、どこを見て決まっているのか
では、格付員は牛肉のどこを見てA5と判断しているのでしょうか。
枝肉を細かく切り分けて、サーロイン、ヒレ、モモ、肩ロースなどを一つずつ調べているわけではありません。
牛枝肉取引規格では、枝肉を第6肋骨と第7肋骨の間で切り開き、その断面などを基準として評価します。
胸最長筋、背半棘筋、頭半棘筋の状態や、ばら、皮下脂肪、筋間脂肪の厚さなどを見る仕組みで、肉質4項目のうち最初の3項目も、主としてこの第6~7肋骨間の切開面が判定部位になっています。
つまり「A5」は、牛から取れるすべての部位を一切れずつ検査した結果ではなく、決められた部位・方法によって枝肉全体を共通基準で評価するための規格です。
これはA5の価値を否定する話ではなく、むしろ大量の枝肉を同じ条件で比較し、取引するためには「どこを見るか」を統一する必要がある、ということでもあります。
格付けが「おいしさランキング」というより、取引のための共通言語であることがよく分かる仕組みです。
あの霜降りの裏側には、ビタミンAの管理もある
A5を語るうえでもう一つ興味深いのが、飼育段階です。
黒毛和種の肥育では、脂肪交雑を高めるため、肥育中期を中心にビタミンAの給与量を調整する飼養管理が行われてきました。
農研機構が1999年度にまとめた研究(黒毛和種去勢牛54頭を対象)では、16か月齢時の血漿中ビタミンA濃度が80IU/dl以下だった牛ではBMSが6以上だった一方、80IU/dl以上だった牛ではBMSが低かったという結果が報告されています。
ただし、ビタミンAは牛の健康に必要な栄養素でもあります。
同じ研究では、血漿中ビタミンA濃度が15IU/dl以下になると濃厚飼料の摂取量が急激に低下した例も報告されており、この値には系統差があることにも注意が必要とされています。
つまり「ビタミンAを減らせば減らすほど霜降りになる」という単純な話ではなく、肥育開始時には給与し、肥育中期に制限し、後期には再び給与するなど、牛の状態を見ながら調整する繊細な栄養管理です。
なお、この80IU/dlや15IU/dlという数値は1999年度の研究成果によるもので、農研機構自身も現在、アーカイブ資料について「情報が古くなっている」と注意を付けています。
したがって、現在のすべての肥育農家がこの数値をそのまま基準にしている、という意味ではありません。
それでも、美しい霜降りの背景に、こうした栄養管理の積み重ねがあることは興味深いところですね!
「最高ランク」なのに、A5は珍しくなくなっている?
そして現在のA5を考えるうえで、かなり意外な数字があります。
農林水産省の資料によると、和牛去勢牛に占めるA5等級の割合は、2013年度は22.9%だったのに対し、2019年度には46.7%、2023年度には63.6%まで上昇しています。
2023年度には、和牛去勢牛の6割以上がA5だったことになります。
「最高ランク」と聞くと、ごく一部の牛だけが到達できる特別な等級を想像しますが、少なくとも和牛去勢牛については、そのイメージとはかなり違う状況になっています。
これはA5の基準が甘くなったという意味ではなく、農林水産省は、家畜改良や生産者・関係者による肉質向上の取り組みによって脂肪交雑の改良が進んだ結果、A5の生産割合が大幅に上昇したと説明しています。
生産技術や育種改良が「最高等級」に追いついてきた、ということです。
その結果、今度は別の問題が生まれています。
A5が増えるほど、A5という表示だけでは牛肉同士の違いを表しにくくなるからです。
実際、農水省の畜産部会でも、A5の割合が増えて差別化しにくくなっていることや、オレイン酸など別の特徴をブランド化する取り組みが議論されています。
「A5のその先」をどう評価するかが、新たなテーマになりつつあるわけです。
実は現在の「A5方式」ができたのは1988年
A5という呼び方には、長い伝統がありそうにも感じます。
しかし、現在の仕組みは意外と新しいものです。日本食肉格付協会の沿革によると、牛枝肉の格付業務そのものは1963年12月に始まりました。
1975年には、日本食肉協議会の格付事業部門を引き継ぐ形で日本食肉格付協会が設立されます。
そして大きな転換があったのが1988年4月です。
それまでの総合評価方式から、「歩留等級」と「肉質等級」を分けて評価する方式へ改正され、現在につながるA5~C1の15段階評価になりました。
つまり、私たちが当たり前のように使っている「A5」という評価方式は、古くから続く和牛の伝統そのものではなく、現在のA5方式の歴史は1988年からなのです。
その後30年以上にわたり、生産者が高い肉質を目指して育種や肥育技術を進歩させた結果、今では和牛去勢牛の6割以上がA5になる年度まで現れました。
制度が生産を評価し、その評価に合わせて生産技術が進歩する。
そして今度は、評価の上限に多くの牛が集まるようになったため、脂肪酸組成や「小ザシ」など、別の特徴にも注目が集まり始めています。
農林水産省も、今後は脂肪交雑以外の食味に関係する要素に注目する必要があるとしています。
この流れまで見ると、A5という格付けが単なる肉のランクではなく、日本の牛肉生産そのものに影響してきた基準だということが分かります。
格付けしているのは機械ではなく「人」
もうひとつ面白いのが、誰がA5を決めているのかという点です。
牛・豚枝肉の格付けを行っているのは、公益社団法人日本食肉格付協会の格付員です。規格に基づいて、脂肪交雑、肉色、脂肪色などを客観的に判定していく専門職で、日本食肉格付協会には格付員の1級・2級・3級という資格制度があり、格付技術の研修や判定眼の統一が行われています。
「A5」という無機質な数字を見ると、機械が自動的に算出しているようにも感じます。
しかし実際には、規格という客観的なルールと、それを正確に適用する格付員の技術によって成り立っています。
ちなみに格付員になるために「畜産系の4年制大学卒業が必須」というわけでもなく、日本食肉格付協会の令和9年度募集要項では、国内の短期大学や農業大学校以上で、学部・学科は問わないとされています。
専門知識を持った人だけを最初から採用するというより、採用後の研修や資格制度を通して格付技術を高めていく職業だと考えたほうが実態に近いでしょう。
「A5とUSDAプライムはどちらが上?」には答えられない
海外の牛肉と比べるときによく登場するのが、アメリカの「USDA Prime」です。
そこで「A5とUSDAプライムでは、どちらが上なのか?」と考えたくなりますが、この二つをそのまま上下関係に並べることはできません。
アメリカのUSDAにも、日本と同じように品質に関する評価と歩留まりに関する評価の両方があります。
品質側にはPrime、Choice、SelectなどのQuality Gradeがあり、霜降りや成熟度などが評価に関係します。
一方、Yield Gradeは1~5の5段階で、販売可能な部分肉の歩留まりを評価します。
日本だけが「歩留まり」を見ていて、アメリカは「品質だけ」を見ている、というわけではないのです。
ただし、日本とアメリカでは評価方法も等級体系も異なります。
日本のA5をそのまま「USDA Primeより2ランク上」のように換算できる公式な対応表はありません。
「A5とPrimeはどちらが上か」という問いそのものが、少し無理のある比較なのだと思います。
同じA5でも、値段はバラバラ
格付けと価格は強く関係しており、一般に高い等級の枝肉は高値で取引される傾向があります。
しかし、「A5なら1kgいくら」と全国一律に価格が決められているわけではありません。
農林水産省の資料でも、牛枝肉の取引価格は卸売市場でのセリによって決まり、需要と供給によって変動すると説明されています。
同じA5でも、BMS、品種、産地、ブランド、枝肉の状態、需要と供給などによって市場での評価は変わります。
松阪牛、神戸ビーフなどのブランド牛が「A5」という格付けだけでは語れないのも、そのためです。
A5は重要な価格情報の一つではありますが、牛肉の値段を決めるすべての情報というわけではありません。
ここでも、A5という二文字が教えてくれる範囲には限界があります。
赤身派も霜降り派も、どちらもいる
ここで重要なのが、消費者の好みです。
農林水産省が引用している2023年度の「食肉に関する意識調査」では、消費者のおよそ半数が普段は赤身肉を購入している一方、価格次第では霜降り肉を購入すると答える人も多く、ニーズが赤身から霜降りまで多様化していると整理されています。
これは「昔は霜降り好きだったが、最近はみんな赤身好きになった」という単純な変化ではありません。
霜降りを好む人もいれば、赤身を好む人もいますし、同じ人でもステーキなら赤身、すき焼きなら霜降りと、料理によって選び方が変わることもあるでしょう。
そう考えると、A5という一つの数字だけで「最高の牛肉」を決めること自体が難しいことが分かります。
私も、肉の各付けと値段を伏せ、目をつぶってたくさんの肉を食べ比べしてみたのですが、やはりA5とそれ以外の肉、値段が倍ほど違う肉は、食べた瞬間に分かります。
実際のところ、A5は本当においしいのか?
ここまで「A5はおいしさを直接採点した等級ではない」と書いてきました。
では実際に食べたとき、A5とそれ以外の肉に味の違いはあるのでしょうか。
これは私自身も気になったので、以前、肉の格付けや値段が分からない状態にして、目をつぶって何種類もの牛肉を食べ比べたことがあります。
先入観をできるだけなくすため、「これはA5」「これは高い肉」といった情報は伏せた状態での食べ比べです。
結果から言うと、少なくとも私には、かなりはっきり違いが分かりました。
特に印象的だったのが、100gあたり500円台の肉と900円台の肉を、すき焼きにして食べ比べたときです。

値段だけを見れば「倍近く違うけれど、目隠しをしたら案外分からないのでは」と思っていたのですが、実際には口に入れた瞬間から違いました。
やわらかさ、脂のほどけ方、舌触り、肉の風味、そして飲み込んだあとに残る余韻まで、明らかに印象が違います。
A5とそれ以外を比べたときにも、同じような違いを感じました。
もちろん、これは私個人の食べ比べによる経験であり、「A5なら必ず誰が食べてもおいしい」「価格が高ければ必ずおいしい」と証明できるものではありません。肉の部位、品種、熟成、保存状態、焼き方によっても味は大きく変わります。
それでも、実際に格付けと価格を伏せて食べ比べてみると、高い評価を受けた肉には、食べた瞬間に分かるだけの違いがあると私は感じました。
ここは少し面白いところです。
「A5は味の点数ではない」というのは制度上の事実です。
しかし、だからといって「A5とそれ以外では味に違いがない」という話でもありません。
脂肪交雑、肉の締まりやきめ、脂肪の質など、格付けで高く評価される特徴の中には、実際に食べたときのやわらかさや口溶け、食感にもつながるものがあります。
つまり、
「A5=おいしさを採点した点数」ではない。
しかし「A5という評価と、おいしさがまったく無関係」でもない。
私自身の食べ比べでは、この二つを分けて考えるのが一番実感に近いと感じました。
A5だから無条件に最高、と考える必要はありません。
一方で、「格付けなんて味には関係ない」と切り捨てるのも、少し違う。
実際に食べ比べてみると、A5や価格の高い肉が評価される理由は、舌でもかなり分かる——というのが、私の率直な結論です。
よくある質問
Q. A5とA4は何が違うのですか?
どちらも歩留等級はAで共通ですが、肉質等級の4項目(脂肪交雑・肉の色沢・締まりときめ・脂肪の色沢と質)のうち、いずれか1項目でも低いスコアがあるとA4になります。
脂肪交雑は満点でも、脂肪の色がやや標準的、といったケースでA4になることもあります。おいしさの差というより、4項目すべてが最高評価かどうかの違いです。
Q. BMS12は「特別に美味しい」という意味ですか?
BMS12は霜降りの入り方としては最も高い数値ですが、肉質等級としてはBMS8以上であれば同じ「5」として扱われます。
つまりA5という表示だけでは、BMS8なのかBMS12なのかは分かりません。
脂肪交雑が多いほど自分好みかどうかは人によって違うので、BMS12が必ずしも「一番おいしい」を意味するわけではありません。
Q. A5と書いてあれば和牛だと思っていいですか?
いいえ。A5は品種を問わず適用される格付けの結果であり、和牛専用の称号ではありません。
「和牛」かどうかを確認したい場合は、A5という表示とは別に、品種や産地の表示を確認する必要があります。
結局、「A5」という2文字から何が分かるのか
ここまでの話を整理すると、A5から分かるのは、歩留等級がAであること、肉質等級が5であること、そして脂肪交雑を含む4項目すべてが肉質等級5の条件を満たしていること、この3つです。
一方でA5だけでは、実際に食べて自分がおいしいと感じるか、香りが自分の好みに合うか、BMS8なのかBMS12なのか、和牛なのかどうか、どのブランド牛なのか、すべての部位が同じ特徴を持っているのか、最終的にいくらで売られるのか、といったことまでは分かりません。
ここが「A5」を理解するうえで、一番重要なところではないでしょうか。
まとめ:A5は「最高においしい」の証明ではなく、牛肉を取引するための共通言語
牛肉の格付けは、「どの牛肉が一番おいしいか」を決めるランキングではありません。
歩留等級という部分肉の取れやすさに関する評価と、脂肪交雑や色沢、締まり、きめなどに関する肉質評価を組み合わせ、枝肉を一定の物差しで比較できるようにした仕組みです。
A5は、その規格の中では確かに最上位の組み合わせです。
しかし、A5=すべての人にとって一番おいしい牛肉、という意味ではありません。
さらに現在では、同じA5の中にBMS8~12という幅があり、和牛去勢牛ではA5の割合そのものが6割を超える年度も出ています。
そう考えると、これから牛肉を選ぶときに見るべきなのは、「A5かどうか」だけではないのでしょう。
霜降りが好きなのか、赤身らしさを楽しみたいのか、口溶けを重視するのか、香りを楽しみたいのか。ステーキなのか、すき焼きなのか、焼肉なのか。
格付けの数字は牛肉を知るための大切な情報ですが、最後の「おいしい」を決めるところまで、A5という二文字に任せる必要はありません。
A5はゴールではなく、その牛肉を知るための出発点。
そう考えると、精肉売り場に並ぶ牛肉の見え方も、少し変わってくるのではないでしょうか。
