「満年齢」と「数え年」の違い|計算方法・早見表と、切り替えに約77年かかった理由

12月31日の夜に生まれた赤ちゃんは、数え年では翌朝もう「2歳」です。

生後わずか数時間で2歳。

これを「数え年は不正確だ」「2歳もサバを読んでいる」と感じたなら、そこには少し誤解があります。

数え年と満年齢は、同じものを違う精度で測った数字ではありません。

そもそも数えている対象が違うのです。

この記事では、まず両者の計算方法と早見表を押さえたうえで、なぜ生まれた瞬間が1歳なのか、日本が数え年を手放すまでに約77年・3度の法整備を要した意外な歴史、そして現代の日本にいまだ残る別の年齢の数え方まで踏み込みます。

結論を先に:満年齢と数え年はここが違う

項目 満年齢 数え年
生まれた日の年齢 0歳 1歳
年を取るタイミング 誕生日ごと(個人ごとにバラバラ) 元日ごと(全員が一斉)
数えているもの 生まれてからの経過時間 生きた暦年の本数
根拠となる法律 年齢計算ニ関スル法律
(1902年)
法律上の定義はなし(慣習)
主な使用場面 履歴書、契約、年齢制限、日常会話 厄年、七五三、長寿祝い、享年、占い

ひとことでいえば、満年齢は「ストップウォッチ」、数え年は「カレンダーのめくり枚数」です。

この違いを押さえておくと、以降の話がすべてつながります。

「満年齢」と「数え年」の計算方法

満年齢の計算方法——実は「誕生日」ではなく「その前日」に年を取っている

基本の計算式

満年齢 = 今年の西暦 − 生まれた年の西暦(誕生日を迎えていない場合はさらに −1)

2000年生まれの人なら、2026年の誕生日を迎えた後は満26歳、迎える前は満25歳です。

法律上、加齢するのは「誕生日の前日」

意外と知られていないのが、法律上は誕生日の当日ではなく、その前日が終わる瞬間に1歳増えるという点です。

根拠は1902年(明治35年)に成立した「年齢計算ニ関スル法律」。

全3項、本文はわずか50文字あまりという日本でも屈指の短さの法律で、年齢の計算に民法の期間計算のルール(起算日に応当する日の前日をもって満了する)を準用すると定めています。

生まれた日そのものを1日目として数え始めるため、1年が満了するのは誕生日の前日の終わり、というわけです。

この規定のおかげで、2月29日生まれの人もうるう年でない年にきちんと年を取れます(毎年2月28日が終わる瞬間に加齢)。

「4年に1度しか歳を取らない」というのは、あくまでジョークです。

「早生まれ」が4月1日までである理由

この「前日加齢」ルールは、日本人全員の学年を左右しています。

学校教育法は、子どもが「満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初め」から就学すると定めています。

ここでいう「満6歳に達した日」が、前述のとおり誕生日の前日にあたります。

  • 4月1日生まれ → 3月31日に満6歳へ到達 → その翌日(4月1日)から始まる学年に間に合う → 前の学年
  • 4月2日生まれ → 4月1日に満6歳へ到達 → その翌日(4月2日)以後の「最初の学年」は翌年度 → 次の学年

つまり「早生まれは1月1日〜4月1日」という誰もが知る区切りは、1902年の法律にある「前日に満了する」というたった一節が生み出しているわけです(文部科学省も同趣旨の解説を公表しています)。

数え年の計算方法——「満年齢+1」「+2」は覚えなくていい

多くのサイトが「誕生日前なら満年齢+2、誕生日後なら+1」と説明しますが、これは満年齢という別の物差しと引き比べたときの見え方にすぎません。

数え年そのものの定義は、たった1本の式で完結します。

数え年 = 今年の西暦 − 生まれた年の西暦 + 1

誕生日を迎えたかどうかは一切関係ありません。生まれ年さえ分かれば、その年の1月1日の時点で数え年は確定しています。

なお数え年に「0歳」は存在しません。生まれた瞬間が1歳なので、最小値は1です。

年齢早見表(2026年版・1年刻み)

2026年時点の数え年と満年齢を、生まれ年ごとに一覧にしました。厄年・七五三・長寿祝いの確認にもそのまま使えます。

生まれ年 和暦 数え年 満年齢
(誕生日前)
満年齢
(誕生日後)
1926年 大正15
/昭和元
101歳 99歳 100歳
1927年 昭和2 100歳 98歳 99歳
1928年 昭和3 99歳 97歳 98歳
1929年 昭和4 98歳 96歳 97歳
1930年 昭和5 97歳 95歳 96歳
1931年 昭和6 96歳 94歳 95歳
1932年 昭和7 95歳 93歳 94歳
1933年 昭和8 94歳 92歳 93歳
1934年 昭和9 93歳 91歳 92歳
1935年 昭和10 92歳 90歳 91歳
1936年 昭和11 91歳 89歳 90歳
1937年 昭和12 90歳 88歳 89歳
1938年 昭和13 89歳 87歳 88歳
1939年 昭和14 88歳 86歳 87歳
1940年 昭和15 87歳 85歳 86歳
1941年 昭和16 86歳 84歳 85歳
1942年 昭和17 85歳 83歳 84歳
1943年 昭和18 84歳 82歳 83歳
1944年 昭和19 83歳 81歳 82歳
1945年 昭和20 82歳 80歳 81歳
1946年 昭和21 81歳 79歳 80歳
1947年 昭和22 80歳 78歳 79歳
1948年 昭和23 79歳 77歳 78歳
1949年 昭和24 78歳 76歳 77歳
1950年 昭和25 77歳 75歳 76歳
1951年 昭和26 76歳 74歳 75歳
1952年 昭和27 75歳 73歳 74歳
1953年 昭和28 74歳 72歳 73歳
1954年 昭和29 73歳 71歳 72歳
1955年 昭和30 72歳 70歳 71歳
1956年 昭和31 71歳 69歳 70歳
1957年 昭和32 70歳 68歳 69歳
1958年 昭和33 69歳 67歳 68歳
1959年 昭和34 68歳 66歳 67歳
1960年 昭和35 67歳 65歳 66歳
1961年 昭和36 66歳 64歳 65歳
1962年 昭和37 65歳 63歳 64歳
1963年 昭和38 64歳 62歳 63歳
1964年 昭和39 63歳 61歳 62歳
1965年 昭和40 62歳 60歳 61歳
1966年 昭和41 61歳 59歳 60歳
1967年 昭和42 60歳 58歳 59歳
1968年 昭和43 59歳 57歳 58歳
1969年 昭和44 58歳 56歳 57歳
1970年 昭和45 57歳 55歳 56歳
1971年 昭和46 56歳 54歳 55歳
1972年 昭和47 55歳 53歳 54歳
1973年 昭和48 54歳 52歳 53歳
1974年 昭和49 53歳 51歳 52歳
1975年 昭和50 52歳 50歳 51歳
1976年 昭和51 51歳 49歳 50歳
1977年 昭和52 50歳 48歳 49歳
1978年 昭和53 49歳 47歳 48歳
1979年 昭和54 48歳 46歳 47歳
1980年 昭和55 47歳 45歳 46歳
1981年 昭和56 46歳 44歳 45歳
1982年 昭和57 45歳 43歳 44歳
1983年 昭和58 44歳 42歳 43歳
1984年 昭和59 43歳 41歳 42歳
1985年 昭和60 42歳 40歳 41歳
1986年 昭和61 41歳 39歳 40歳
1987年 昭和62 40歳 38歳 39歳
1988年 昭和63 39歳 37歳 38歳
1989年 昭和64
/平成元
38歳 36歳 37歳
1990年 平成2 37歳 35歳 36歳
1991年 平成3 36歳 34歳 35歳
1992年 平成4 35歳 33歳 34歳
1993年 平成5 34歳 32歳 33歳
1994年 平成6 33歳 31歳 32歳
1995年 平成7 32歳 30歳 31歳
1996年 平成8 31歳 29歳 30歳
1997年 平成9 30歳 28歳 29歳
1998年 平成10 29歳 27歳 28歳
1999年 平成11 28歳 26歳 27歳
2000年 平成12 27歳 25歳 26歳
2001年 平成13 26歳 24歳 25歳
2002年 平成14 25歳 23歳 24歳
2003年 平成15 24歳 22歳 23歳
2004年 平成16 23歳 21歳 22歳
2005年 平成17 22歳 20歳 21歳
2006年 平成18 21歳 19歳 20歳
2007年 平成19 20歳 18歳 19歳
2008年 平成20 19歳 17歳 18歳
2009年 平成21 18歳 16歳 17歳
2010年 平成22 17歳 15歳 16歳
2011年 平成23 16歳 14歳 15歳
2012年 平成24 15歳 13歳 14歳
2013年 平成25 14歳 12歳 13歳
2014年 平成26 13歳 11歳 12歳
2015年 平成27 12歳 10歳 11歳
2016年 平成28 11歳 9歳 10歳
2017年 平成29 10歳 8歳 9歳
2018年 平成30 9歳 7歳 8歳
2019年 平成31
/令和元
8歳 6歳 7歳
2020年 令和2 7歳 5歳 6歳
2021年 令和3 6歳 4歳 5歳
2022年 令和4 5歳 3歳 4歳
2023年 令和5 4歳 2歳 3歳
2024年 令和6 3歳 1歳 2歳
2025年 令和7 2歳 0歳 1歳
2026年 令和8 1歳 0歳

なぜ生まれた瞬間が1歳なのか——「何年目」を数えていると考えると腑に落ちる

数え年の由来としてよく紹介されるのは、「お腹の中にいた十月十日を1年分と数えるから」という胎内説と、「正月に歳神様から一年分の生きる力(年魂=としだま。お年玉の語源とされます)を授かるから」という歳神様説です。

どちらも神社などが伝える説明で、それぞれに説得力があります。

ただ、計算そのものを理解するだけなら、この記事ではもう一つ別の見方を提案してみたいと思います。

数え年は、その人が「何本目の暦年を生きているか」を数える序数(順番の数)だと捉えると、すっきり理解できます。

生まれた瞬間、その人は1本目の暦年を生きています。

だから1歳。年が明ければ2本目に入るから2歳。この見方に立つと、冒頭の「12月31日生まれが翌日2歳」は誤差でもサバ読みでもなく、「2本目の暦年に入った」という事実をそのまま述べているだけだと分かります。

対して満年齢は、生まれてから何年が経過したかを測る基数(量の数)です。

測定値なので、始まりは当然ゼロになります。

この「順番の数か、量の数か」という区別は、実は身の回りにあふれています。

  • 小学1年生:入学した瞬間から1年目(0年生はいない)
  • 21世紀は2001年から:西暦1年を1世紀の始まりとするため(0世紀がない)
  • 「3日目」「5回目」:初日が1日目
  • 建物の階数:日本は地上階が「1階」、英国式では ground floor の上が first floor

もちろん、数え年が歴史的にこの発想から生まれたと一次資料で確認できるわけではありません。あくまで理解のための整理です。

ただ、「昔の日本人にはゼロの概念がなかったから」という説明よりは、ずっと筋が通るのではないでしょうか。

数え年は「年齢差」がブレない

もうひとつ、数え年には満年齢にない性質があります。

満年齢では、同じ年に生まれた1月生まれのAさんと12月生まれのBさんの年齢差は、時期によって0歳になったり1歳になったりと揺れます。

ところが数え年なら、2人の差は生まれ年だけで決まるので一年中ずっと同じです。

だからこそ数え年の社会では「同い年」という関係が安定します。

韓国で「동갑(同甲=同い年)」の絆が強いことも、この構造と無関係ではないでしょう。

この話は最後にもう一度戻ってきます。

日本は数え年をやめるのに約77年・3度の法整備を要した

「日本は1950年に数え年をやめた」——これはよく見る説明ですが、道のりはもっと長いものでした。

実際には明治から昭和にかけて、約77年をかけて三度の法整備が行われています。

第1幕:1873年(明治6年)太政官布告第36号「年齢計算方」

日本が最初に年齢の数え方に手を入れたのは、明治6年です。

布告の原文はこう始まります。

自今年齡ヲ計算候儀幾年幾月ト可相數事 但舊曆中ノ儀ハ一干支ヲ以テ一年トシ其生年ノ月數ト通算シ十二ヶ月ヲ以テ一年ト可致事

現代語にすれば、「今後、年齢は『何年何か月』という形で数えること。ただし旧暦時代の分については、干支一つを一年として数え、生まれ年の月数と通算して12か月を1年とすること」。

つまりこれは単なる表示ルールの変更ではなく、年齢を「何年何か月」という経過期間で表す計算方法そのものを定めたものでした。

ただし現在の満年齢のように「生まれた日から起算する」わけではなく、旧暦の月数を通算する規定まで置かれており、現代の満年齢とはかなり様子が違います。

1873年に今の満年齢が完成したわけではなく、いわば中間的な計算法が導入された段階、と見るのが正確でしょう。この記事では便宜的に「幻の第一方式」と呼んでおきます。

この布告は1902年12月2日、次の法律によって廃止されました。

第2幕:1902年(明治35年)「年齢計算ニ関スル法律」

ここで現在と同じ「出生の日から起算する満年齢」が確立します。

つまり、法律上の年齢は明治35年からずっと満年齢でした。

ところが世間はまったく従いませんでした。

日常生活では数え年が使われ続け、法律と生活習慣が半世紀近くもズレたまま並走する状態が続きます。

1949年の国会審議でも、「法律はあるのに社会では一般に数え年が使われている」という趣旨の指摘がなされているほどです。

第3幕:1949年(昭和24年)「年齢のとなえ方に関する法律」——決め手は配給のキャラメル

この膠着を破ったのが、1949年5月24日公布・1950年1月1日施行の「年齢のとなえ方に関する法律」です。

当時の国会審議で挙げられた理由は主に4つでした。

  1. 心理的効果 — 全国民が1〜2歳「若返る」ことで、終戦直後の沈んだ空気を予算ゼロで明るくできる
  2. 出生届の適正化 — 12月生まれの子は正月を迎えた途端に「2歳」扱いになるため、届け出をわざと遅らせる家庭があった
  3. 国際性 — 数え年は諸外国の慣行や国際統計と噛み合わず、実務上の不便が大きかった
  4. 配給制度の矛盾 — 配給量のカロリー計算は満年齢基準なのに、窓口での年齢確認は数え年で行われていた

4つ目が、もっとも生活に直結した理由でした。

この二重基準のせいで、12月に生まれた乳児が生後1〜2か月で「2歳」に繰り上がり、2歳児向けの配給品——たとえばキャラメル——が、まだ乳しか飲めない赤ちゃんのもとに届くという事態が現場で起きていたのです。

抽象的な計算方法の議論を最後に動かしたのが、戦後の食糧難という極めて切実な事情だった。

これは単なる豆知識を超えて、制度というものの動き方を教えてくれる話です。

なおこの法律に罰則はありません。

国民に対しては「満年齢で言い表すよう心がけなければならない」という努力義務にすぎませんでした。

強制ではなく努力義務のまま、長く続いた数え年の慣習を満年齢へ移していく転機になった——そういう法律です。

それでも数え年が使われ続けている場面

満年齢が日常の標準になった今も、数え年は次の場面で現役です。

  • 七五三:伝統的には数え年で3歳・5歳・7歳(近年は満年齢で祝う家庭も多数)
  • 厄年:神社での祈祷は数え年が基本
  • 長寿祝い:還暦・古希・喜寿など(還暦のみ満60歳=数え61歳という対応)
  • 享年・行年:位牌や墓石に故人の年齢を刻む際、伝統的には数え年が使われてきました
  • 占い:数え年を用いる一部の占術では、現在も数え年が使われます

2026年・長寿祝い早見表(数え年基準)

名称 数え年 対象の生まれ年
還暦 61(満60) 1966年(昭和41)
古希 70 1957年(昭和32)
喜寿 77 1950年(昭和25)
傘寿 80 1947年(昭和22)
米寿 88 1939年(昭和14)
卒寿 90 1937年(昭和12)
白寿 99 1928年(昭和3)
百寿 100 1927年(昭和2)

2026年・厄年早見表(数え年基準)

対象 前厄 本厄 後厄
男性 24歳/2003年(平成15) 25歳/2002年(平成14) 26歳/2001年(平成13)
男性 41歳/1986年(昭和61) 42歳/1985年(昭和60)=大厄 43歳/1984年(昭和59)
男性 60歳/1967年(昭和42) 61歳/1966年(昭和41) 62歳/1965年(昭和40)
女性 18歳/2009年(平成21) 19歳/2008年(平成20) 20歳/2007年(平成19)
女性 32歳/1995年(平成7) 33歳/1994年(平成6)=大厄 34歳/1993年(平成5)
女性 36歳/1991年(平成3) 37歳/1990年(平成2) 38歳/1989年(昭和64・平成元)

※厄年の年齢や解釈は神社・地域によって差があります。

2026年・七五三早見表

お祝い 数え年で祝う場合 満年齢で祝う場合
3歳 2024年(令和6)生まれ 2023年(令和5)生まれ
5歳 2022年(令和4)生まれ 2021年(令和3)生まれ
7歳 2020年(令和2)生まれ 2019年(平成31・令和元)生まれ

満年齢でも数え年でもない「もう一つの年齢」

年齢の数え方は2種類しかない。そう思い込んでいると見落とすものがあります。

生命保険の「保険年齢」(6捨7入)

生命保険の一部の契約や団体保険では、現在も「保険年齢」と呼ばれる方式が使われています。

契約日時点の満年齢に対し、1年未満の端数を「6か月以下は切り捨て、6か月超は切り上げ」で処理する、いわゆる6捨7入です。

この方式では、31歳の誕生日をまだ迎えていないのに、「31歳」として扱われる、という現象が起こるわけです。

逆にいえば、保険年齢方式で年齢が切り上がるのは誕生日直前ではなく、誕生日からおよそ半年後。

「保険は誕生日前に入るとお得」という一般的なアドバイスは満年齢方式を前提としたもので、保険年齢方式では節目の時期そのものがずれる点に注意が必要です。

なお現在は満年齢を使用する会社・商品と、保険年齢を使用する会社・商品があります。

とはいえ、四捨五入ならぬ六捨七入という数え方が今も契約実務のどこかで動いている、というのは知っておいて損のない話です。

競走馬の「馬齢」——満年齢の顔をした数え年

もっと鮮やかな例が競馬にあります。

日本の競走馬の年齢(馬齢)は、2000年まで数え年でした。

人間が1950年に切り替えてから半世紀も遅れて、2001年から国際基準に合わせて満年齢表記に変更されたのです。

ところが、満年齢になった今も、競走馬は誕生日では年を取りません。

生まれた時点を0歳とし、1月1日が来ると同じ年に生まれた馬が一斉に1歳加齢する仕組みです。

生まれた年の馬は特に「当歳(とうさい)」と呼ばれます。

つまり現在の馬齢は、起点だけを満年齢にして、加齢のタイミングは数え年のまま残したハイブリッドなのです。

「みんなで一斉に年を取る」という数え年の骨格は、名前を変えて生き延びていることになります。

ちなみに基準日は北半球が1月1日である一方、南半球では7月1日や8月1日を基準日とする国・地域があります(南米は7月1日、オセアニアや南アフリカは8月1日とされます)。

出産シーズンとレースの公平性を両立させるための設計です。

沖縄の「トゥシビー」——数え年に十二支を重ねた文化

年齢文化の多様性は、国内にもあります。沖縄です。

沖縄には「トゥシビー(年日)」と呼ばれる生年祝いの風習があります。

自分の生まれ年の干支が再びめぐってきた年を祝うもので、対象となるのは数え年で13歳・25歳・37歳・49歳・61歳・73歳・85歳・97歳。97歳の「カジマヤー」は、集落を挙げての大きな祝いとして知られています。

ここで面白いのが、この年齢がきれいに12年刻みで並ぶのは、数え年だからこそだという点です。

数え年は生まれ年だけで決まるので、干支の12年周期とぴったり噛み合い、「干支が一巡した年=数え13歳」「二巡した年=数え25歳」と一対一で対応します。

満年齢だと誕生日の前か後かでズレてしまい、こうはいきません。

トゥシビーは数え年を土台にしつつ、そこに十二支という12年周期を重ね、さらに祝う時期を旧暦の正月明けに置いた沖縄独自の年齢文化です。

「数え年は昔の風習」で片づけると、こうした今も生きた使われ方が見えなくなってしまいます。

海外はどうしている?——「韓国が数え年を廃止した」は言いすぎ

日本が満年齢へ切り替えたのは1950年ですが、隣国・韓国はごく最近、2023年6月28日に「満年齢統一法」を施行しました。

日本から73年遅れです。

押さえておきたいのが、韓国にはそれまで3種類の年齢が併存していたという点です。

名称 数え方 1995年生まれの2026年の年齢
세는 나이(数え年) 生まれた時点で1歳、元日ごとに+1 32歳
만 나이(満年齢) 生まれた時点で0歳、誕生日ごとに+1 30〜31歳
연 나이(年年齢) 今年の西暦 − 生まれ年(誕生日は無関係) 31歳

3つ目の「연 나이(年年齢)」は、日本の数え年からちょうど1を引いた形の計算方法です。

日本にも学年や年度で一括処理する仕組みはありますが、韓国ではこれを独立した年齢の数え方として名前を与え、法令上も使い分けてきました。

兵役検査、就学、飲酒・喫煙の可否といった「生まれ年でひとまとめに扱う」制度が、その適用場面です。

法律ごとに基準がバラバラで現場が混乱したため、特別の定めがない限り行政・民事上の年齢を満年齢に統一したのが2023年の法改正です。

ただし、日本のメディアが報じた「韓国が数え年を廃止した」という表現は言いすぎです。

統一されたのは行政・法令上の基準であって、就学・青少年保護・兵役など年単位方式を使う制度は例外として残されていますし、日常の会話や文化のなかには従来の数え年表現もなお残っています。

とはいえ社会の移行はかなり進んでいるようで、韓国の法制処が2023年10月に約2万2千人を対象に実施した調査では、95.8%が法律の施行を認知し、88.5%が今後も満年齢を使い続けると回答したと報じられています。

なお中国にも「虚歳(きょさい)」という数え年に近い伝統的な数え方が残りますが、加齢の基準が新暦の元日ではなく旧暦の正月(春節)とされることが多い点が、日本の数え年との違いです。

ベトナムなど、東アジアの他地域にも同様の慣習が見られます。

まとめ——日本は数え年を捨てて、それでも「一斉に年を取る」感覚を手放さなかった

数え年は、社会全体が元日に一斉に年を取る「集団同期型」の年齢でした。

満年齢は、365人いれば365通りのタイミングがある「個人非同期型」の年齢です。

1950年の切り替えは、単なる計算ルールの変更ではなく、日本社会が前者から後者へ移った節目でもありました。

ところが、日本人は「みんなで一斉に年を取る」という感覚そのものは、まったく手放していません。

  • 学年:4月2日から翌年4月1日までの生まれで一斉に区切り、全員が同時に進級する
  • 同期・タメ・「〇〇年組」:生まれ年や入社年による横のつながり
  • 競走馬の馬齢:制度上は満年齢なのに、今も1月1日に全馬が一斉加齢
  • 沖縄のトゥシビー:数え年と干支が噛み合い、同じ年に生まれた者が同じ年に祝う

数え年という制度は日常から退いても、「同じ年に生まれた者は同じ年齢である」という集団同期の感覚は、学年や同期という別の器に移し替えられて生き残った。

そう考えると、私たちが数え年をまったく理解できなくなったわけではないことが分かります。

次に神社で「数え年でお書きください」と言われたときは、単なる古い風習ではなく、日本社会の時間感覚そのものに触れているのだと思い出してみてください。

よくある質問

Q. 履歴書には満年齢と数え年、どちらを書きますか?

A. 満年齢です。提出日(郵送なら投函日)時点の満年齢を記入します。

Q. 数え年に「0歳」はありますか?

A. ありません。生まれた瞬間が1歳なので、最小値は1歳です。生後間もない子を指す言葉としては「当歳」などが使われました。

Q. 七五三は数え年と満年齢のどちらで祝うべきですか?

A. 伝統的には数え年ですが、現在はどちらでも問題ありません。近年は子どもの負担を考えて満年齢で祝う家庭が多数派です。兄弟姉妹で一緒に祝うため、あえて片方を数え年、片方を満年齢に揃えるという調整も一般的です。

Q. 2月29日生まれの人は何歳になりますか?

A. 法律上は毎年2月28日が終わる瞬間に1歳増えます。うるう年でなくても年齢はきちんと加算されます。

Q. 享年と行年は何が違いますか?

A. 「享年は数え年、行年は満年齢」と説明されることもありますが、もともと両語はほぼ同義で、国語辞典でも同じ意味の言葉として扱われています。日本の葬送では伝統的にどちらも数え年で記してきましたが、現在は満年齢を用いる例も増えており、仏教全体で統一された数え方があるわけではありません。地域・宗派・寺院によって扱いが異なるため、菩提寺に確認するのが確実です。

Q. 数え年で年齢を伝える場面はまだありますか?

A. 神社での厄払いや七五三の祈祷申込、位牌の年齢表記、数え年を用いる一部の占術などが代表的です。

また、当サイトでは、100種類以上のたくさんの似て非なる言葉の特集をしています。ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。