X世代・Y世代・Z世代とは?年齢早見表と定義がバラバラな理由

「あなたはZ世代ですか、Y世代ですか」と聞かれて、即答できる人はたぶん少ないと思います。

私も自分がどこに入るのか調べたことがあるのですが、開いたサイトによって答えが違って、途中で調べるのをやめました。

この記事は、その「答えが違う」という現象そのものを入り口にしています。

X世代・Y世代・Z世代というラベルは、実はかなり成り行きで生まれた言葉です。

誰が、いつ、どういう気分で名づけたのか。なぜ日本に持ち込むとうまくハマらないのか。そして、この分類を最も熱心に使ってきた調査機関のひとつが、なぜ2023年に「もうあまり使いません」と宣言したのか。

とはいえ、まず数字が知りたい方が多いと思うので、いちばんよく使われる目安を先に置いておきます。

世代 生まれ年の目安 2026年時点の年齢
X世代 1965〜1980年 46〜61歳
Y世代(ミレニアル) 1981〜1996年 30〜45歳
Z世代 1997〜2012年 ※ 14〜29歳
α(アルファ)世代 2010〜2024年 ※ 2〜16歳
β(ベータ)世代 2025〜2039年 ※ 0〜1歳

※これは統一規格ではありません。X世代・Y世代・Z世代の年代はピュー・リサーチ・センターが過去の分析で用いていた区分、α世代・β世代はマクリンドル・リサーチの区分です。出典が違えば数字も変わります(Z世代とα世代の年数が重なって見えるのは、そのためです)。

この「※」が、実はこの記事の本題です。

なぜ統一規格がないのか。誰がこの区切りを決めたのか。その話のほうが、たぶん表よりずっと面白いです。

「X世代」の”X”だけが、意味を持って名づけられた

結論から書きます。X・Y・Zという三つのラベルのうち、意味があって名づけられたのはXだけです。

YとZは「Xの次だから」という理由でついた記号にすぎません。

ここを知っているかどうかで、この言葉との付き合い方はかなり変わります。

順を追って見ていきます。

発端は、戦争写真家が温めていた企画だった

「Generation X」という言葉を最初に世に出した人物として名前が挙がるのは、ロバート・キャパです。

ノルマンディー上陸作戦を撮ったことで知られる、あの写真家です。

1950年代前半、キャパは世界各国の若者を取材する写真企画を構想していました。

第二次大戦後に育った、まだ誰も正体をつかめていない若者たち。彼らを何と呼ぶか。キャパが選んだのが「Generation X」でした。Xは数学の未知数のXです。

「まだ定義できない世代」という意味の、いわば仮の名前でした。

ここが個人的にいちばん好きなところなのですが、この言葉はもともと「わからない」と言うために作られた言葉なんですね。

「こういう特徴を持った集団だ」と定義するための言葉ではなく、その正反対でした。

1964年、ボツになった雑誌企画が本になる

言葉が二度目に浮上するのは、1960年代半ばのイギリスです。

女性誌に載せられなかった原稿

ジャーナリストのジェーン・デヴァーソンは、女性誌『Woman’s Own』の依頼で、当時のイギリスの若者――スクーターに乗ってパーカを着た、いわゆるモッズたち――に取材をしていました。

ところが上がってきた原稿の中身が、権威への反発や性愛をめぐる本音に踏み込みすぎていて、雑誌には載せられないと判断されます。

デヴァーソンは、この原稿を共著者チャールズ・ハンブレットと一冊の本にまとめました。

それが1964年(刊行は1965年とされることもあります)に出た『Generation X』です。

ビリー・アイドルの母親の本棚

その本は、やがて思わぬ場所に流れ着きます。

1976年、パンクバンドを結成しようとしていたイギリスの若者が、バンド名を探して母親の本棚を眺めていました。

そこにあったのが『Generation X』。

バンド名はそのまま決まり、そのボーカルが後にソロで大成功するビリー・アイドルです。

ここで注意しておきたいのですが、キャパの写真企画と、この1964年の本との間に直接のつながりは確認されていません。

同じ名前が、別の場所で独立して選ばれたと考えたほうが実態に近いようです。

いっぽう、1964年の本 → ビリー・アイドルのバンド名のほうは、はっきりつながっています。

女性誌のボツ原稿が単行本になり、それが十数年後にパンクバンドの名前になった。この時点でもう、社会学の用語という感じはまったくしません。

1991年、カナダの小説家が”X”を再発明した

そして決定打が、1991年です。

カナダの作家ダグラス・クープランドが『Generation X: Tales for an Accelerated Culture』という小説を発表します。

邦題は『ジェネレーションX――加速された文化のための物語たち』。

親世代のような右肩上がりの人生を信じられず、低賃金の仕事を転々としながら砂漠の町で語り合う若者たち。

この小説がアメリカで大きく話題になり、「Generation X」は1960年代半ば以降に生まれた若者を指す一般名詞として定着しました。

ところが、クープランドの”X”は別ルートから来ていた

ここで話がややこしくなります。

クープランドの「X」は、キャパから直接受け継いだものではないようです。

本人の説明が、時期によって揺れているのです。

1989年の雑誌記事では、クープランドはこの言葉をビリー・アイドルのバンド名に帰していました。ところが1995年のインタビューでは、別の由来を語っています。

ポール・ファッセルが1983年に出した『Class(階級)』という本の最終章に出てくる「Xカテゴリー」――地位や金や社会的上昇のメリーゴーラウンドから降りたがっている人たち――を指す言葉から取った、と。

つまり、キャパの「未知数のX」、デヴァーソンの本、ビリー・アイドル、ファッセルの「Xカテゴリー」。

これらは一本の線でつながっているというより、「Generation X」という名前が何度も独立に発生したという話に近いのだと思います。

同じ一文字が、別々の場所で、似た理由から繰り返し選ばれた。

それでも、着地点はほぼ同じだった

面白いのは、由来のルートが違っても、意味がよく似た場所に落ちたことです。

既存の分類から外れる人たち。旗印を持たない人たち。

社会からうまく像を結んでもらえない人たち。

結果としてX世代とは、「ラベルを貼れないことがラベルになっている世代」になりました。そしてこの皮肉が、後の展開で完全に忘れられます。

ついでに書いておくと、クープランド自身は1994年ごろには「X世代なんてものは存在する、という考え方が間違いだった」という趣旨のことを言い出して、自分が広めた言葉から距離を取り始めています。

現代的な意味でこの言葉を広めた本人が、真っ先にそこから降りている。覚えておいて損のない話だと思います。

Y世代とZ世代は、「Xの次」という理由だけで名づけられた

ここからが、多くの記事が触れないところです。

最初の「Y世代」は、今のY世代ではなかった

「Generation Y」という言葉が活字になった早い例として知られているのが、アメリカの広告業界誌『Advertising Age(アドエイジ)』の1993年8月の記事です。

X世代の次に来る若者たちをどう呼ぶかという話の中で、とりあえずXの次だからY、という発想で置かれました。

ここで、ぜひ知っておいてほしい事実があります。

このとき『Advertising Age』が「Generation Y」と呼んだのは、当時13〜19歳、つまり1974〜1980年生まれの層でした。

1974〜1980年生まれは、現在ではX世代です

冒頭の早見表を思い出してください。

そこで採用したピューの区分(X世代=1965〜1980年)では、1974〜1980年生まれは全員X世代です。

ほかの定義でも大半はX世代の後半に入ります。

ただし後で見るマクリンドルの区分のように、1980年をY世代の開始年としているものもあるので、そこだけは重なります。

つまり、最初にY世代と名づけられた人たちの大半は、いまではX世代に分類されているわけです。

ラベルだけが上の年代を離れて、下へ下へと移動していった。

実際、『Advertising Age』は2003年までにY世代の開始年を1982年へ動かしています。

1974年から1982年へ、8年ぶんの引っ越しです。生まれ年は動かないのに、世代の境界のほうが動いた。

この一件は、この記事で言いたいことをほぼ全部含んでいると思います。

世代の区切りは、その集団の実態から導かれたのではなく、使う側の都合で後から動かせるものだった、ということです。

「Y世代」の名づけ親のほうが、ミレニアルに乗り換えた

話はまだ続きます。同じ層に対して、歴史家のウィリアム・ストラウスとニール・ハウが1987年ごろから「Millennials(ミレニアルズ)」という呼び名を提唱していました。

1982年生まれが小学校に入る時期で、彼らが2000年に成人することにメディアの関心が集まりはじめたころです。

こちらのほうが響きも意味もいい、ということで、業界の言葉づかいは徐々にミレニアルへ移っていきます。

そして2012年、『Advertising Age』自身が「ミレニアルズのほうがGen Yよりいい名前だ」と事実上認めました。言い出しっぺが白旗を上げたわけです。

日本語圏で「Y世代」がいまだに現役なのは、そういう英語圏の揺れが伝わらないまま、アルファベット三兄弟という語呂のよさだけが輸入されたからだと思います。

X・Y・Zと並ぶと、いかにも体系立って見えますからね。

Z世代は、単に「アルファベットの最後」だった

Zにいたっては、由来を説明する余地すらほとんどありません。

Yの次だからZ。それだけです。

そして当然、次の問題が起きます。Zの次がない。

アルファベットが尽きて、ギリシャ文字に移った

ここで登場するのが、オーストラリアの社会調査会社マクリンドル・リサーチです。同社は2010年以降に生まれた層を「Generation Alpha(α世代)」と名づけました。

ラテン文字を使い切ったので、ギリシャ文字の最初に戻る、という発想です。

同社は「まったく新しい世界に形づくられる世代であることを示すために、ギリシャ文字に移った」と説明しています。

振り出しに戻ったのではなく、新しいシリーズの一作目だ、という理屈ですね。

そしてその流れで、2025年生まれからは「β世代(Generation Beta)」とされています。同社の区分では以下のように、きっちり15年刻みです。

世代名 生まれ年(マクリンドル・リサーチの区分)
α(アルファ)世代 2010〜2024年
β(ベータ)世代 2025〜2039年
γ(ガンマ)世代 2040〜2054年
δ(デルタ)世代 2055〜2069年

2069年生まれの人の呼び名まで、もう決まっている

この表を初めて見たとき、正直ちょっと驚きました。

まだ影も形もない2055年生まれの子どもたちの呼び名が、すでに予約されているわけです。

もっとも、同社の言い分にも一理あります。

「ミレニアル世代」のように一つの出来事にひもづけた名前は、区切りが曖昧になって主観的な議論を招く。

だから文字と年数で機械的に切ったほうが、国際比較にも耐える――という主張です。

ただ、これは裏を返せば「世代名の中身は、後から人間が盛り込んでいるだけ」という自白でもあります。

15年刻みの箱が先にあって、そこに特徴が注ぎ込まれていく。順番が逆なんですね。

「あなたは何世代?」の答えは、見たサイトによって変わる

ここまで読んでいただくと、定義がブレる理由が見えてくると思います。

X・Y・Zの生まれ年に、公的な標準規格は存在しません。ISOもJISも国連も、決めていません。

主要な定義を並べてみた

よく引用される定義を横に並べると、こうなります。

出典 X世代 Y世代/
ミレニアル
Z世代
ピュー・リサーチ・センター(米)※過去の分析で用いた区分 1965〜1980年 1981〜1996年 1997〜2012年
マクリンドル・リサーチ(豪) 1965〜1979年 1980〜1994年 1995〜2009年
ストラウス&ハウ(米・世代理論) 1961〜1981年 1982〜2004年 2005年〜(別名称)
日本のマーケティング記事に多い区分 1965〜1980年ごろ 1981〜1995年ごろ 1996〜2010年ごろ

ざっと見て、X世代の始まりは1961年から1965年まで4年の幅、Y世代の始まりは1980年から1982年、Z世代の始まりに至っては1995年から1997年まで揺れています。

ピューの区分にわざわざ注記をつけたのには理由があります。

同センターがZ世代を1997年からとしたとき、終わりの年は確定させていませんでした

「この分析上は1997年以降とする」という但し書きつきの線引きです。

のちに1997〜2012年という形で扱われるようになりましたが、これも同様に分析上の便宜という位置づけでした。

そして後述するとおり、同センターは2023年に世代ラベルそのものの扱いを見直しています。

「Pewが公式に決めた定義」という言い方は、実は正確ではありません。

1980年生まれと1996年生まれの人が、いちばん振り回される

この表を自分に当てはめると、境界にいる人ほど答えが定まりません。

たとえば1980年生まれ。ピューではX世代の最後尾、マクリンドルではY世代の先頭です。

1996年生まれなら、ピューではミレニアルの最後、マクリンドルではZ世代のど真ん中。

1997年生まれは、ピューではZ世代の第一号ですが、日本のよくある区分では前年の1996年からZ世代が始まっているので、そこでも一つズレます。

境界の人たちには、ちゃんと専用の呼び名がある

英語圏には、この「どっちつかず」を指す言葉があります。

  • Xennials(ゼニアル)……1977〜1983年ごろ生まれ。X世代とミレニアルの中間。アナログな子ども時代を過ごし、大学生前後でネットが来た層。「Oregon Trail Generation」という別名もあります(学校のパソコンで同名の教育ゲームをやった世代、という意味です)。
  • Zillennials(ジレニアル)……1993〜1998年ごろ生まれ。ミレニアルとZ世代の中間。ガラケーとスマホの両方を通ってきた層。

日本語の記事でこの二つに触れているものはほとんど見かけません。

でも実感としては、この「中間層」の呼び名のほうが、当事者にはしっくりくるんじゃないかと思います。

境目にいる人は、どちらのステレオタイプにも「いや、そこまでではない」と感じているはずなので。

「公式の定義」は世界のどこにもない

念のため書いておくと、アメリカ国勢調査局も世代の統一定義を持っていません。

個別の統計リリースで年齢帯を示すことはありますが、それは「この分析ではこう切りました」という宣言であって、標準ではないのです。

だから「Z世代とは何年生まれか」という問いには、正確には「どの定義を採用するかによります」としか答えられません。

記事によって数字が違うのは、誰かが間違っているのではなく、そもそも正解がないからです。

日本の世代論とアメリカの世代論は、設計思想がまるで違う

ここからは、日本語で世代を語るときにいちばん効いてくる話です。

アメリカは主に出生年、日本は出生年だけでは切らない

X・Y・Zは、すべて出生年で区切られています。

何年に生まれたか、それだけ。

ところが日本で流通してきた世代名は、出生年・就職時期・教育制度が混在しています。

並べてみると、ものさしがバラバラなのがよくわかります。

  • 団塊の世代……1947〜1949年生まれ。これは出生年ベース(第一次ベビーブーム)。
  • しらけ世代・新人類……学生運動の退潮以降に青春期を過ごした層。出来事ベース。
  • バブル世代……好況期に就職した層。就職年ベース。
  • 団塊ジュニア……1971〜1974年生まれ。出生年ベース(第二次ベビーブーム)。
  • 就職氷河期世代……バブル崩壊後の厳しい採用環境で卒業・就職活動を迎えた層。
  • ゆとり世代……ゆとり教育の学習指導要領を受けた層。教育制度ベース。
  • さとり世代……2010年代前半にネット上で広まった呼称。定義はかなり曖昧。

就職氷河期世代は、生まれ年では定義できない

とくにわかりやすいのが就職氷河期世代です。

政府の支援施策でも、おおむね1993年から2004年ごろに学校卒業期を迎えた層として扱われてきました。つまり「何年に生まれたか」ではなく「何年に社会へ出ようとしたか」が基準です。

だから高卒・専門卒・大卒・院卒で、同じ生まれ年でも入る・入らないが変わります。

浪人や留年があればさらにズレます。

出生年だけでは一意に切れない世代なんですね。

ここにX世代・Y世代を重ねようとすると、必ずどこかで無理が出ます。

日本の世代名一覧とX/Y/Zの対応表を載せている記事は多いのですが、その対応が「だいたい」でしかない理由は、たいてい書かれていません。

物差しの単位が違うのだから、当然といえば当然です。

同じ1995年生まれでも、日米で見てきた景色が違う

もうひとつ、輸入ものの世代論が日本でうまく機能しない理由があります。

区切りの根拠になった出来事が、アメリカの出来事だからです。

ピュー・リサーチ・センターが1996年をミレニアル世代の末尾に置いた理由として挙げていたのは、複数の形成体験でした。

同時多発テロ、アフガニスタン・イラクでの戦争、2008年の大統領選挙、そして景気後退。加えて、成長期にどんなインターネット環境にいたか。

ここで大事なのは、「2001年に事件があったから2001年生まれで切る」という話ではないことです。そ

の出来事を意識的な記憶として持てる年齢だったかという発想で線を引いています。1996年生まれなら同時多発テロのとき5歳前後で、うっすらとでも記憶に残りうる。

1997年生まれ以降はほぼ残らない。そういう理屈です。

では日本ではどうか。日本社会にとっての形成体験を並べると、こうなります。

日本側の「形成体験になりそうな出来事」

  • 1991年ごろ バブル崩壊
  • 1995年 阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、Windows 95発売
  • 1997〜98年 金融機関の相次ぐ破綻、就職氷河期の本格化
  • 2008年 リーマン・ショック
  • 2011年 東日本大震災
  • 2020年 新型コロナウイルスによる休校・オンライン授業

ピューと同じ発想を日本でやるなら、考えるべきは「1995年を何歳で経験したか」「2011年をどのライフステージで迎えたか」になります。

  • 震災やサリン事件を記憶として持っているか。
  • 就職活動が氷河期の底に当たったか。
  • 一斉休校を小学生で受けたか、大学生で受けたか。

そこから線を引き直す作業が要るはずです。

誤解のないように書いておくと、「1995年に大きな出来事があったから1995年生まれが境界」ということではありません。

1995年生まれの本人は、その年の出来事を記憶していないからです。

境界になりうるのは、あくまで「その出来事を覚えていられる年齢だった最後の生まれ年」のほうです。

いずれにせよ、アメリカで設定された1997年という境界を、そのまま日本社会の節目とみなせる保証はありません。

日本で「Z世代は1997年生まれから」と言うとき、私たちは他国の記憶の切れ目を借りていることになります。

便利ではあるのですが、根拠としてはかなり借り物です。

この点を意識している日本語記事は、私が見た範囲ではほとんどありませんでした。

ここは正直に書いておいたほうがいい部分だと思っています。

日本の世代名とX/Y/Zの、ざっくり対応

そのうえで、あくまで「ざっくり」の対応表を置いておきます。ズレることを前提に見てください。

生まれ年(目安) 欧米式 日本でよく使われる呼称
1946〜1964年 ベビーブーマー 団塊の世代(1947〜49年)/しらけ世代
1965〜1980年 X世代 新人類/バブル世代/団塊ジュニア/就職氷河期世代
1981〜1996年 Y世代(ミレニアル) 就職氷河期世代の後半/ゆとり世代/さとり世代
1997〜2012年 Z世代 (対応する固有名がほぼない)
2010〜2024年 α世代 (同上)

この表でいちばん注目してほしいのは、いちばん下の二行です。

Z世代とα世代には、日本独自の呼び名がありません。

「ゆとり世代」までは日本語の言葉があったのに、そこから先は輸入語に切り替わっている。

これは、日本の世代命名が教育制度や雇用情勢に紐づいていたのに対し、2010年代以降はグローバルなマーケティング用語のほうが先に届くようになったということだと思います。

世代名の来歴そのものが、日本の情報環境の変化を映しているわけです。

韓国で独自に広がった「MZ世代」という束ね方

もうひとつ、日本語記事でほぼ語られない話を。

MとZを合体させる、世界的にはかなり異様な運用

韓国では「MZ세대(MZ世代)」という言い方が完全に定着しています。

ミレニアル(M)とZをひとまとめにした呼称で、ニュースでも広告でも当たり前に使われます。

ここで一歩引いて考えると、これはかなり不思議なことです。

現在一般的なX・Y・Zの区分では、ミレニアルとZは別の世代として扱われます

それを韓国では再び一つに束ねているわけです。

実務的な理由はわかります。ソウル市の統計分析では1980〜2004年生まれをMZ世代として扱っており、2020年時点で市の人口の35.5%を占めていました。

三分の一を超える巨大な消費者層です。マーケティング上、束ねたほうが扱いやすい。

韓国国内でも「雑すぎる」と批判されている

ただ、これは韓国国内でも批判があります。1980年生まれと2005年生まれを同じ箱に入れて「MZ世代の特徴は」と語るのは、さすがに乱暴だという指摘です。

実際、25歳差ですからね。親子でもおかしくない開きです。

ここから見えてくるのは、世代の区切りは「実態」ではなく「その社会が何を束ねたいか」で決まるということです。

アメリカは分けたかったから分け、韓国は束ねたかったから束ねた。日本は輸入したから輸入のまま使っている。

世代論を読むときは、「この区切りは誰にとって都合がいいのか」を一度考えてみると、見え方が変わります。

「デジタルネイティブ」という言葉の賞味期限

Z世代の説明で必ず出てくるのが「デジタルネイティブ」です。

この言葉についても、少し補足しておきます。

2001年の造語で、実証は後回しだった

「デジタルネイティブ/デジタルイミグラント(移民)」という対比は、教育コンサルタントのマーク・プレンスキーが2001年に発表した論考で広まりました。

生まれたときからデジタル環境にいる世代は、脳の使い方からして違う――という主張です。

キャッチーだったので一気に広まりましたが、その後の研究では、この二分法は繰り返し疑問視されています。

若い世代のITスキルには大きな個人差があり、「生まれた年」で説明できる部分は思ったより小さい、という指摘です。

「Z世代はパソコンが使えない」問題

そして現場感覚としても、ズレが出ています。日本の職場でよく聞くのが、「新入社員がスマホは達人だが、フォルダ階層やファイル管理の概念を持っていない」という話です。

これはむしろ理屈が通っています。

スマホとアプリで完結する環境で育てば、フォルダを意識する必要がないからです。

つまり「デジタルに強い」のではなく、「触ってきた端末が違う」だけ。

そう考えると、いちばんパソコンに詳しいのは、個人PCの黎明期を通過したX世代後半からY世代前半だったりします。

ドライバを手で入れ、config.sysをいじり、CD-Rを焼き損ねた人たちですね。世代とスキルの関係は、線形ではないのです。

そして2023年、ピュー・リサーチは世代論から半分降りた

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

アメリカのピュー・リサーチ・センターは、世代別調査の代名詞のような存在でした。

「ミレニアル世代の◯%が」という数字の出どころは、たいていここです。

その同センターが2023年5月、「今後の世代の扱い方を変える」という方針を公表しました。要点はこうです。

  • 数十年にわたる時系列データがあり、同じライフステージ同士で比較できる場合にのみ、世代分析を行う
  • それ以外では、標準的な世代区分やラベルを既定では使わない
  • 10年単位や、特定の出来事・技術の変化を基準にした区切りのほうが適切なら、そちらを使う
  • 世代分析が適さない場合でも、年齢による違いは引き続き扱う

年齢効果・時代効果・コホート効果の三つ巴

理由として挙げられているのが、この三つの混同です。少し丁寧に見ます。

具体例で考えてみる

年齢効果。今の20代と今の60代を比べて「Z世代は転職に抵抗がない」と言ったとします。でも今の60代も、20代のころは転職に抵抗が少なかったかもしれません。比較すべきは「今の20代」と「かつての20代」であって、今の60代ではないのです。ここを取り違えた記事は、本当に多いです。

時代効果。コロナ禍でリモートワークが増えたのは、全世代に起きたことです。それを「Z世代は柔軟な働き方を求める」と書いてしまうと、時代の変化を世代の性質にすり替えたことになります。

コホート効果。これが本来「世代差」と呼びたいものです。特定の出生集団が形成期に置かれた環境によって身につけ、その後の人生でも比較的持続する差を指します。世代論が本当に語りたいのはここだけ、と言ってもいいくらいです。

用語を整理しておきます。

効果 中身
年齢効果 その年齢だから起きる変化。誰でも通る 20代は転職しやすい/60代は保守化しやすい
時代効果 その時期に全世代がまとめて受ける影響 コロナ禍でのリモートワーク普及
コホート効果 形成期の環境によって特定の出生集団に残る、持続的な差 不況期に社会に出た層の、その後も続く安定志向

やっかいなのは、この三つがデータ上ほとんど見分けがつかないことです。

しかもピューは、もう一段の落とし穴も指摘しています。

世代間で数字に差が出たとしても、その原因が形成期の体験とは限らない、という点です。人種構成、学歴、都市部居住率といった集団の顔ぶれそのものが世代間で変わっていれば、それが「世代差」として見えてしまう。

だから統制が必要になります。

これらを切り分けるには、数十年にわたって同じ設問で取り続けたデータが要ります。

それがないまま「◯世代の特徴」を語ると、ほぼ確実にどれかと取り違えます。

ちなみに学術の世界では、世代差研究への懐疑はもっと前からありました。イギリスの研究者ボビー・ダフィーが2021年に出した『The Generation Myth(世代の神話)』は、まさに「生まれ年は思ったほど重要ではない」という一冊です。

世代論の代表格だった機関が方針転換したことで、その議論がようやく実務側にも届いた、という順番だと思います。

それでも世代論が使われ続ける理由

では世代論はまったくの無駄かというと、そうも言い切れません。

私は、次の二つの役割は残ると考えています。

ひとつは共通体験のインデックスとしての役割です。

「Windows 95の行列」「ガラケーの絵文字」「初代iPhone」「コロナの一斉休校」。

これらは特定の年齢層に強く刺さる記憶で、コミュニケーションの手がかりになります。

もうひとつは会話のとっかかりです。

「Z世代ってどう思う?」という問いは雑ですが、雑だからこそ人が乗ってこられる。

厳密な社会学の道具としてではなく、話を始めるための取っ手として使う分には、悪くないと思っています。

問題は、この取っ手を結論として使ってしまうことです。

「あの人はZ世代だから」で説明を終えた瞬間、その人個人を見るのをやめてしまう。世代論のいちばんの害はそこにあります。

世代論との、ちょうどいい付き合い方

実務でこの言葉を使う場面もあると思うので、目安を書いておきます。

使っていい場面/使うと事故る場面

内容
使いやすい 接触メディアの傾向をざっくり掴む/懐かしネタの選定/年齢帯を口語で呼ぶときの略称
要注意 購買動機や価値観の説明/採用・育成方針の根拠/個人の行動の説明
事故る 「◯世代だから△△だ」と人事評価や配属判断に持ち込む/年齢を理由にした決めつけ

世代論の記事を読むときの、三つのチェック

  1. 生まれ年の定義が書いてあるか。「Z世代の◯%」とあって、その定義が示されていない記事は、比較のしようがありません。
  2. 比較相手が「同じライフステージ」か。今の20代と今の50代を比べた数字は、世代差ではなく年齢差の可能性が高いです。
  3. 調査対象が日本か、海外か。米国調査の「Gen Z」を日本の若者に当てはめた記事は、思っているより多く流通しています。

この三つを確認するだけで、読める記事とそうでない記事はかなり選り分けられます。

X世代・Y世代・Z世代 早見表(2026年時点)

最後に、由来もあわせてまとめます。

ベビーブーマー〜Z世代の年代はピュー・リサーチ・センターが過去の分析で用いていた区分、α世代・β世代はマクリンドル・リサーチの区分です。いずれも公的な標準規格ではなく、採用する定義によって答えは変わります

世代 生まれ年 2026年時点の年齢 名前の由来
ベビーブーマー 1946〜1964年 62〜80歳 戦後のベビーブーム
X世代 1965〜1980年 46〜61歳 「未知数のX」。既存の分類から外れる、という含み
Y世代(ミレニアル) 1981〜1996年 30〜45歳 Xの次だからY(当初は1974〜80年生まれを指した)/2000年に成人するからミレニアル
Z世代 1997〜2012年 14〜29歳 Yの次だからZ
α世代 2010〜2024年(マクリンドル区分) 2〜16歳 ラテン文字を使い切ったのでギリシャ文字へ
β世代 2025〜2039年(同上) 0〜1歳 αの次

※Z世代とα世代の年数が重なって見えるのは、採用している出典が異なるためです。

ピューはZ世代を2012年までとし、マクリンドルはZ世代を2009年まで、α世代を2010年からとしています。

この重なり自体が、統一規格がないことの証拠だと思ってください。

よくある質問

Q. Z世代は何歳から何歳までですか?

ピュー・リサーチ・センターが過去の分析で用いた区分(1997〜2012年生まれ)なら、2026年時点で14〜29歳です。ただし1995年生まれからとする定義もあり、その場合は31歳までがZ世代になります。

しかもピュー自身、Z世代の終わりの年を確定させないまま「この分析上は」という扱いにしてきました。「何歳まで」に唯一の正解はありません。

Q. なぜXから始まったのですか。AやBではないのですか。

アルファベットの順番ではなく、「未知数のX」「既存の分類から外れるX」という意味から来ているためです。

写真家ロバート・キャパは「正体をつかめない戦後世代」の意味で使い、小説『ジェネレーションX』の著者クープランドは後年、ポール・ファッセルの『Class』に出てくる「Xカテゴリー」に由来すると語っています。

後から続いたY・Zが、結果的に順番のように見えているだけです。

Q. Y世代とミレニアル世代は違うものですか。

現在はほぼ同じ層を指します。由来が別で、Y世代は広告業界誌『Advertising Age』発(1993年)、ミレニアルはストラウス&ハウという世代理論の研究者発(1987年ごろ)です。

ただし1993年時点のY世代は1974〜1980年生まれを指しており、現在の区分とは一致しません。

英語圏ではミレニアルのほうが優勢で、日本語では両方が併用されています。

Q. 日本のゆとり世代は、X・Y・Zのどれですか。

おおむねY世代(ミレニアル)後半からZ世代前半にかかります。

ただし、ゆとり世代は教育課程で定義される言葉なので、出生年で切るX/Y/Zとはきれいに対応しません。

「だいたい重なる」以上のことは言えないと考えたほうが安全です。

Q. Z世代の次は何ですか。

α(アルファ)世代です。2010年以降に生まれた層を指し、さらに2025年生まれからはβ(ベータ)世代とされています。

マクリンドル・リサーチの区分では、その先のγ世代・δ世代まで名前が用意されています。

Q. 結局、世代論は信用していいのですか。

「傾向をつかむための地図」としては使えますが、「個人を説明する根拠」としては弱いです。

ピュー・リサーチ・センターが2023年に扱いを見直したのも、年齢の影響・時代の影響・世代の影響が混ざりやすいためでした。

目の前の一人を理解したいときは、世代名をいったん脇に置いたほうが早いと思います。

おわりに

調べていて何度も思ったのですが、X世代の”X”が「くくれない」という意味だったというのは、いま振り返るとちょっと出来すぎた皮肉です。

くくれないと名づけられた世代の後ろに、Y、Z、α、βと、定義の箱だけがきれいに並んでいく。

しかも最初のY世代は、いまのY世代ですらなかった。

世代名は、その集団の本質を言い当てた言葉ではありません。

誰かがある時期に、ある必要があって置いた目印です。それを知ったうえで使う分には、便利な道具だと思います。

ただ、自分が何世代なのかを検索して答えが割れていたとしても、それは調べ方が悪かったわけではありません。

もともと、割れているのが正しいのです。

また、当サイトでは、100種類以上のたくさんの似て非なる言葉の特集をしています。ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。

■参考にした情報源

  • Pew Research Center「How Pew Research Center will report on generations moving forward」(2023年5月22日)
  • McCrindle Research「Generation Beta defined」「Generation Alpha defined」
  • Wikipedia「Generation X (1964 book)」「Generation X: Tales for an Accelerated Culture」「Millennials」「Generation Beta」
  • Paul Fussell『Class: A Guide Through the American Status System』(1983年)
  • 厚生労働省ほか、就職氷河期世代支援に関する各種資料(おおむね1993〜2004年に学校卒業期を迎えた層)
  • ソウル特別市によるMZ世代の統計分析(2021年公表)
  • Bobby Duffy『The Generation Myth: Why When You’re Born Matters Less Than You Think』(2021年)
  • Marc Prensky「Digital Natives, Digital Immigrants」(2001年)

※本記事の世代区分は、記載した各出典の定義に基づくものです。世代の年数区分には国際的な統一規格が存在せず、他の定義とは異なる場合があります。